冷凍倉庫の賃貸料の相場は?メリット・デメリットや選び方を解説

ネットショッピングの普及により、冷凍倉庫の需要が高まっています。

冷凍倉庫がなければ、食材などの温度管理が必要な商品を預けることはできません。

しかし自社で倉庫を所有するには、時間もコストもハードルが高いため、賃貸で探す方も多いのではないでしょうか。

この記事では、冷凍倉庫の賃貸料やメリット・デメリットを解説しています。

選び方のポイントも紹介しているので、すので、ぜひ参考にしてください。

冷凍倉庫の定義とは?

物流倉庫において冷凍倉庫は、約-18°℃以下の温度帯で保管される倉庫を指します。

温度帯は5つに区分されます。

区分温度帯
定温+5℃〜+18℃
常温(ドライ)10℃〜15℃
冷蔵(チルド)-18℃〜10℃
冷凍(フローズン)-40℃〜-18℃
超低温〜-40℃

商品の状態を維持するには、最適な温度帯で管理することが必須です。

預ける倉庫が何度の倉庫を保持しているか、事前に確認しておきましょう。

冷凍倉庫のタイプは2種類

冷凍倉庫の種類は2つに分かれます。

  • BTS型・・・商品の特徴に合わせた
  • マルチテナント型・・・幅広い商品に対応可能

温度帯と関連して種類が分かれることが多いので、それぞれの特徴を理解しましょう。

BTS型|商品の特徴に合わせた

BTS型とはBuild To Suit(ビルド・トゥ・スーツ)の略称で、商品の保管温度に合わせて構築されるオーダーメイドの物流倉庫です。

医薬品など特殊な保管が必要な場合に、BTS型の倉庫を利用することが多いです。

マルチテナント型|幅広い商品に対応可能な

利用者を幅広く受け入れている物流倉庫で、テナントの入れ替えに対応できる汎用性の高さが特徴です。

多くのテナントが利用する前提のため、超冷凍のような一部の商品だけ保管できる温度帯の倉庫は少ないです。

冷凍倉庫の等級と温度帯

温度帯ごとに区分されているものの、冷蔵と冷凍、超低温は保管温度により等級が定められています。

等級温度帯
C3級0℃〜10℃
C2級-10℃〜0℃
C1級-20℃〜-10℃
F1級-30℃〜-20℃
F2級-40℃〜-30℃
F3級-50℃〜-40℃
F4級〜-50℃

魚介類や肉類などの食材は適正な温度でなければ、品質を落としかねません。

正しい保管温度を知り、適切に管理しましょう。

冷凍倉庫の賃貸料はいくら?相場を調査

冷凍倉庫は一般の物流倉庫と費用の項目で、大きな差はありません。

費用は毎月定額に発生する固定費と、入出庫に伴い発生する変動費の2つです。

固定費は商品の個数、預ける単位、使うシステムで増減します。

一方、変動費は入出庫する際にかかる費用で、預ける商品の種類やサイズにより金額が変わります。

具体的に見ていきましょう。

固定費

固定費の項目は以下の通りです。

項目相場
倉庫保管料(坪単価)3,500〜7,000円/月
システム利用料20,000〜50,000円/月
業務管理費10,000〜50,000円/月

倉庫保管料は個数単位で契約する個建て、スペース単位で契約する坪建てなど、倉庫により借り方が異なります。

冷凍倉庫は保管できるエリアが限られる場合が多く、倉庫保管料は通常の物流倉庫より高めの傾向です。

変動費

変動費の項目は以下の通りです。

項目相場
デバンニング料20,000〜35,000円/回
入庫料10〜30円/個
検品料10〜100円/個
ピッキング料10〜30円/個
梱包料150〜300円/個
配送料600〜1,800円/個
冷凍設備費(光熱費)5,000〜10,000円/月

変動費は入出庫の度に料金が発生します。

入出庫が多い企業は、なるべく単価の安いところを選びましょう。

冷凍した商品を発送する場合、特殊な配送車を利用しなければなりません。その分、配送料が通常より高く設定されています。

また、保管料に上乗せされるケースもありますが、冷凍保存用の光熱費が別途発生します。

等級により値段の計算が異なることがありますので、事前に確認しておきましょう。

冷凍倉庫をレンタルする3つのメリット

冷凍倉庫を活用するメリットは3つあります。

  1. 初期投資が建築するより安い
  2. 移転など柔軟に対応しやすい
  3. 物流倉庫であれば配送などを効率化できる

それぞれ具体的な内容について解説します。

1.初期投資が建築するより安い

冷凍倉庫はレンタルする方が、自社で倉庫を作るより初期投資が安価です。

倉庫を作る場合、以下の費用がかかります。

土地購入5万〜300万円/坪
倉庫の建築費40万〜55万円/坪
冷凍設備50万〜120万円

倉庫は大型なことが多いので、建築するのに数千万〜数億円はかかるでしょう。

一方、レンタルであれば数万円から契約できるため手軽に始められます。

2.移転など柔軟に対応しやすい

賃貸なら事業所の移転などがあった場合、契約を終了し別倉庫に変更が可能です。

また、仮に別事業を開始したい時も倉庫を所有しないため、最低限のコストで切り替えることが可能です。

規模を大きくする予定がある、事業を広く展開したい企業は、レンタルから始めることをおすすめします。

3.物流倉庫であれば配送などを効率化できる

物流機能を有している冷凍倉庫であれば、商品の入出庫や状態の管理も委託でき、効率的な経営が可能です。

冷凍が必要な商品で、最も気をつけたいのが商品管理です。

商品の品質を損なうと損失が出るほか、仮にお客様の手に渡った場合、信頼を落としかねません。

そのため、倉庫を所有するなら人員を多く抱える必要がありますが、委託であれば人員確保から商品管理も任せられます。

物流業務を委託し、削減できた時間を本業に注力すれば、売上の向上も狙えます。

関連記事:物流倉庫の保管や出荷の手順・注意点をわかりやすく解説!

冷凍倉庫をレンタルする3つのデメリット

EC物流倉庫を利用するデメリットも3つあります。

  1. 長期でみた場合は割高になる
  2. 原状回復など使用に制限がある可能性
  3. 料金相場の上昇リスクがある

レンタル特有の課題もありますので、1つずつ見ていきましょう。

1.長期で見た場合は割高になる

大量の商品を所有している企業であれば、30年以上の長期で見るとレンタルする方が割高になります。

30年以上と設定したのは、金属倉庫の減価償却期間が30〜40年のためです。

では、下記の例で計算してみましょう。今回はわかりやすさの観点から固定費のみを比較します。

【条件】

倉庫建築費用1億円
サイズ100坪
期間30年

建築費用1億円に加えて、倉庫を取得する際の不動産取得税と毎年の固定資産税を計算してみます。

項目計算式
不動産取得税固定資産評価額×4%
固定資産税固定資産評価額×1.4%

固定資産評価額とは、国に定められた基準により計算された建物の価値のことです。

必ずしも建築費用全てが固定資産評価額になる訳ではありませんが、ここでは1億円とします。

そうすると、不動産取得税は400万、固定資産税は140万円。

固定資産は毎年発生するため30年で計算すると4,200万円となり、倉庫建築の費用総額は1億4,600万円です。

賃貸の場合も計算してみましょう。

固定費の項目は全て平均値を使って計算してみます。

倉庫保管料(坪単価)5,500円/月
システム利用料3万5,000円/月
業務管理費3万円/月

上記の場合、毎月の出費は62万5千円。30年で計算した場合、2億2,500万円。

賃貸の方が30年でみると約8,000万円高くなります。

レンタルは初期コストは安く柔軟性に優れるものの、総額で見ると高くなるケースが多いことを把握しておきましょう。

2.原状回復など使用に制限がある可能性

預ける商品により冷凍機能を追加できますが、契約解除のタイミングで元に戻すのが一般的です。

しかし、機能の追加や原状回復の撤去費用は自社で負担するためコストが発生します。

薬品など取り扱いが難しい商品を保管する場合は、契約前に用途の制限がないか確認しておきましょう。

3.料金相場の上昇リスクがある

賃貸の場合、契約時の金額で、永続的に借りられる訳ではありません。

基本的に倉庫は消耗していくため、建物の価格の下落に合わせて賃料も下がることが多いです。

しかし、家主の事情や賃貸相場の上昇により賃上げの可能性もあります。

最近ではネットショッピングが主流となり、立地の良い倉庫は保管場所の争奪戦になっています。

人気のある倉庫は保管料を値上げしても借りる事業者が多いため、定期的に価格を見直す可能性があります。

事前に契約書を確認し、賃料に関する記載があれば、どのような時に料金が変わるのか確認しましょう。

冷凍倉庫選びで失敗しない4つのポイント

冷凍倉庫を選ぶ時に注意したいポイントを4つにまとめました。

  1. 立地とコストの関係
  2. 正確かつ迅速なオペレーション
  3. 繁閑期の柔軟な対応
  4. 必ず現場をチェック

全ての項目に対応できるか、チェックしてください。

1.立地とコストの関係

倉庫を選ぶ際は、立地場所と配送料含め全体コストを見ることが大切です。

特に冷凍倉庫は特殊な車両を使用するため、配送料が高いので注意が必要です。

保管料は中心地ほど高く、郊外ほど安い傾向があります。一方で配達コストはその逆になることが多いです。

そのため、立地で確認する点は2つです。

  • 商品の製造先または仕入先のエリア
  • 購入されるお客様が多いエリア

中間あたりに位置する倉庫があれば、無駄なコストが発生せず利用できます。

2.正確かつ迅速なオペレーション

物流業務を委託するにあたり、重要なのが業務の正確性・迅速性です。

倉庫では多くの商品を取り扱うため出入りする人員も多く、検品作業などでミスが発生することがあります。

正確性を保つためには、体制が整っているか、ルールが守られているかをチェックしましょう。

また冷凍保存ができる配送車を使用しても、配送に時間がかかると状態の保存も難しくなります。

そのため、迅速性も正確性と合わせて重要です。

仕事を安心して依頼できるかは、物流倉庫の実績を見るのがポイントです、

3.繁閑期の柔軟な対応

繁閑期に対応できるかは、商品を取り扱う事業をする上で大切です。

仮に商品が売れても、物流が止まると商品を届けられず収入になりません。

特に冷凍商品は状態の維持が難しく、指定した日程で対応できなければ、状態も悪化します。

繁閑期には在庫が増減しますが、人員を適切にマネジメントし、滞りなく物流業務を継続できる倉庫を選びましょう。

4.必ず現場をチェック

倉庫を契約する前は、必ず現場を見ることをおすすめします。

契約書に委託内容などは記載されますが、大切な商品を預ける以上、現場確認を怠ってはいけません。

特に冷凍倉庫でチェックしたいポイントは以下の通りです。

  • 冷凍倉庫は等級に応じた温度になっているか
  • 指定の温度を保てる配送車を使っているか
  • 倉庫から配送車への荷積みはスムーズに行われているか
  • 一定時間外に置いていないか

委託した内容通り運用が徹底されているか、自身の目で確かめましょう。

冷凍倉庫をレンタルする際の注意点7つ

倉庫をレンタルする際、注意したいポイントは7つあります。

  • 自社商品に対応している冷凍温度か
  • 冷凍設備費(光熱費)は高額でないか
  • 冷凍対応の配送車を用意できるか
  • 配送先までの距離が遠くないか
  • 使用方法に制限がないか
  • 解約時の何ヶ月前に通知が必要か
  • 契約満了前の解約は違約金があるか

契約した後で変更するのは、難しいので気をつけてください。

それでは、それぞれ詳しく解説します。

自社商品に対応している冷凍温度か

冷凍倉庫の保管温度が、預ける商品に対応しているか調べましょう。

等級の温度が維持できているかは、メンテナンスなども影響します。

自社商品に合った温度帯の倉庫を見つけたとしても、実際に温度が保たれているか確認するまで安心してはいけません。

特に、夏場などの暑い日にも温度を保っていられるか、確かめたうえで契約してください。

冷凍設備費(光熱費)は高額でないか

電力不足により、どの電力会社も光熱費の値上げをしています。

光熱費の負担は倉庫側から企業のレンタル料に反映されるため、他社と比較し割高でないか確認しましょう。

冷凍設備費は、倉庫保管料に上乗せされることがあり、見分けがつかない場合があります。

その際は、設備使用量はどの項目に加算されているか質問しておきましょう。

冷凍対応の配送車を用意できるか

冷凍商品を運ぶ方法は大きく2つあります。

  • 冷蔵機能を有した車で配送
  • 保冷機能のある箱を利用して通常車両で配送

冷凍車両の方が配送料は高くなりますがその分、温度調整幅が広くどのような商品でも輸送可能です。

一方で保冷機能のある箱を使った場合、配送料は安いですが調整できる温度に限りがあることに気をつけてください。

配送先までの距離が遠くないか

配送先までが遠いと配達日数が長くなるだけでなく、商品の状態管理が難しくなります。

また、配送料も高くなります。冷凍商品を配送する場合、通常の配送料より割高のため負担も大きいです。

そのため、倉庫から配送先までの距離を計算し、適切な位置にある倉庫を選ぶことが大切です。

使用方法に制限がないか

倉庫によっては預ける商品を制限します。

特に薬品は冷凍温度の条件が厳しく、他の商品と一緒に保管できないことが多いです。

自社の商品で扱いが難しいものがあるなら、事前に対応可能か確認しましょう。

解約時の何ヶ月前に通知が必要か

賃貸契約を解約する際は、数ヶ月前に申告することを定めていることがあります。

レンタルする場合、数ヶ月単位で契約することが一般的です。

その際、契約期間満了と合わせて申告がなければ自動更新されます。

自動更新は解約通知のタイミングを誤ると、数ヶ月間の契約を更新しなければなりません。

別の冷凍倉庫に切り替える場合も解約に見なされることもあるため、解約の定義、申告のタイミングは確認しましょう。

契約満了前の解約は違約金はあるか

解約の申告が漏れており、契約満了前に解約が必要な場合、違約金の有無を確認しておきましょう。

契約を維持するコストより違約金を支払う方が低い場合は早く契約を終了するのも1つの手段です。

正当な理由を持って条件交渉をすれば、改善できるケースもありますので、他社と比較し交渉をしましょう。

まとめ:商品の特性に合わせて冷凍倉庫を選ぼう

冷凍倉庫は保管できる温度帯が等級により区別されています。

預ける商品が適切な等級の倉庫に保管できなければ、商品の劣化にも繋がるため、契約前にチェックしましょう。

また費用に関して、一般的な物流倉庫と同様に固定費と変動費が発生します。

ただし冷凍設備を利用するため、倉庫保管料・配送料・光熱費は追加料金が発生する点が異なります。

賃貸か建築するか悩む場合は短期・長期目線で費用を比較するほか、移転などの柔軟性も加味して判断しましょう。