テレアポで顧客との距離が縮められず、成果を出せていない方が多いのではないでしょうか。
視覚情報を利用しないコミュニケーションでは、声のトーンが大切です。適切なトーンで会話することで、顧客に好印象を与えられ、自然と距離も縮まるでしょう。
この記事では、声のトーンを構成する要素と、理想的なトーンの出し方を解説します。誰でもできる内容なので、最後まで読みテレアポに役立ててください。
テレアポは声のトーンが大切
顧客はオペレーターが「何を言ったか」よりも、声のトーンからコミュニケーションの良し悪しを判断しています。この事象は、メラビアンの法則で説明可能です。
メラビアンの法則とは、他者とのコミュニケーションにおいて、その方の印象が決まる要素を表した心理学の考え方です。印象を決定する要素は3種類あります。
印象を決定する情報 | 例 | 割合 |
言語情報 | 話の内容 | 7% |
聴覚情報 | 声のトーン | 38% |
視覚情報 | 見た目ボディランゲージ | 55% |
テレアポでは視覚情報が利用できないため、聴覚情報の与える影響がもっとも大きくなります。
テレアポは新規顧客へ電話するため、オペレーターの印象がマイナスからスタートする可能性が高いです。トークの内容を磨くだけでなく、印象を決定づける声のトーンにも力を入れましょう。
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テレアポにおける声のトーンを構成する4要素
顧客の聴覚情報を刺激する声のトーンは、おもに以下4つの要素で構成されています。
- 大きさ
- 高さ
- スピード
- 会話の間
これらの組み合わせ次第で顧客に与える印象はコントロール可能です。1つの要素だけがよくても、ほかの要素が悪ければ与える印象も悪くなるでしょう。
それぞれの要素について解説します。
大きさ
声のボリュームはオペレーター側ではなく、顧客側にどのように聞こえているのかを考えることが大切です。
直接話す場合は、自分と相手に聞こえる音は同じになります。一方テレアポの場合、お互いに置かれている状況は異なることが多いでしょう。たとえば、以下の要素で聞こえ方に差異が生じます。
- 騒音の有無
- 電話の音量設定
クライアント側の音量設定は分からないため、調整しながら探ることも必要です。その際は相手の声のボリュームに合わせると自然とよい音量をキープできます。これは、顧客の声は聞こえている音量と同じくらいの大きさに自然となるためです。
高さ
電話を通して聞こえる声は、実際よりも低く聞こえると言われています。そのため、電話の声を録音して聞くなど、相手に聞こえる声を事前に確認しておくと安心です。
声の高さによって以下のような印象を与えられます。
声の高さ | 与える印象 |
高い | 明るく元気で、親しみやすい |
低い | 落ち着きがあり、真面目 |
声の高さによって与える印象は大きく変わるため、意図した声になっているかは定期的に確認するのがおすすめです。テレアポのロープレで練習相手に声の高さも含めてフィードバックをもらうとより客観視できます。
スピード
話すスピードは顧客が聞き取りやすいことを第一に考えた調整が必要です。これは以下の要素を含みます。
- 説明内容を理解できる
- 最後まで集中力を維持できる
テレアポは視覚情報がないため、説明の際に利用する資料や、説明に合わせたボディランゲージは使えません。普段は目と耳を使って理解しているものを、耳だけで理解させることが必要です。そのため顧客の理解に合わせた対応が求められます。
また、顧客の集中力を維持するためには、緩急をつけることが重要です。重要なポイントで話すスピードを遅くするなどの工夫をしましょう。
会話の間
顧客との会話の間は、スムーズな会話ができたか判断する指標です。テレアポではトークスクリプトに沿った会話や、商品説明などオペレーターの話す時間が長くなります。
会話の間を意識できていないと一方的に話を続ける迷惑電話のような印象を与えるでしょう。電話対応で大切なのは顧客との「対話」です。商品説明を読むだけのテレアポでは効果がありません。
お互いに心地よく会話ができるように、テンポを作りながら進めることが求められます。
テレアポに最適な声のトーンとは
声のトーンを構成する4要素について、それぞれ以下を満たすと顧客が心地よいと感じる可能性が高まります。
- 普段よりも少し大きい声
- 通常よりも2トーン高い声
- 自分で遅いと感じるくらいのスピード
- 顧客が話せる間のある会話
これらを自然とできるレベルで身につけることで、アポ獲得率を高められるでしょう。それぞれ解説します。
普段よりも少し大きい声
テレアポは以下の理由から普段よりも大きな声で話したほうがよいとされています。
- 元気な印象を与える
- 商材に対する自信を感じさせられる
- 話がわからなくても指摘しない
テレアポは初めて話す顧客が多いため、よい第一印象を与えることが大切です。元気で覇気のあるオペレーターであれば、信用されることも多いでしょう。また、営業では商材への自信が必要です。販売者が不安そうな商品を顧客が購入することはありません。
声の大きさでもっとも注意すべき点は、たとえ声が小さくても指摘されないことです。相手の話が聞こえないとき、それを指摘するのは話を聞きたい場合ではないでしょうか。
しかし、テレアポを聞きたいと思っている方はほとんどいないため、聞いているふりをして流されてしまいます。少し大きめの声で話すことで、リスクの最小化が可能です。
通常よりも2トーン高い声
通常よりも2トーン高い声で会話することで以下の効果が得られます。
- 明るい印象を与える
- 圧迫感がないためリラックスできる
- 声が通るため聞き取りやすい
顧客はオペレーターの雰囲気で、会社全体のイメージを決定づけることが多いです。そのため、声が低く高圧的な印象を与えてしまうと、営業担当も同じような方だと認識されます。怖い方と会いたい顧客はいないため、アポ獲得率が大きく下がる要因になるでしょう。
自分で遅いと感じるくらいのスピード
テレアポでは、以下の理由から話すスピードはいつも以上に遅くする意識が大切です。
- 顧客は初めて聞く情報が多く、理解に時間がかかる
- 緊張していると気づかない間に早口になる
顧客とオペレーターの間には知識量に大きな差があることを認識しましょう。電話では視覚情報が利用できないため、通常よりも理解に時間がかかります。そのため、自分の理解できるスピードで話をすると、多くの場合顧客の理解が追いつきません。
普通のペースで話しているつもりでも、緊張していたり、焦っているとイメージよりも早口になっています。最初は極端なくらいゆっくりと話すのがおすすめです。
顧客が話せる間のある会話
テレアポは一方的なお知らせの伝達ではなく、顧客と会話する意識が大切です。そのため、顧客が話せる間を意図的に作る必要があります。
ポイントは沈黙を怖がらないことです。電話では顧客の顔が見えないため、沈黙を過剰に恐れ、それを埋めるように連続で話してしまいます。沈黙を埋めてしまうと、顧客の話す隙間がなくなり、結果として一方的に話す電話になるでしょう。
沈黙は顧客が思考し、話をしようとしているタイミングです。会話の合間はワンテンポ待つように心がけましょう。
テレアポに適した声を出すコツ
テレアポに適した声のトーンは、以下のコツを実践することで誰でも作れます。
- 口角を上げて笑顔で話す
- 姿勢を正す
- 呼吸を意識する
表情や姿勢などを意識することで、声のトーンが変わります。
口角を上げて笑顔で話す
電話の相手に顔が見えていないときでも、口角を上げて笑顔で話すことで、以下の効果が得られます。
- 口の中に声が反響する空洞を作るため、音が響きやすくなる
- 脳が楽しいことをしていると錯覚し、顧客との会話を楽しめる
口角を上げて声を出すのは、ボイトレでも使われる手法です。プロが声を届けるために利用する方法のため、テレアポでも取り入れるとよいでしょう。
また、楽しい表情を作ることで本当に楽しい気持ちになり、その感情が声にも乗ります。「笑声」という言葉があるように、笑顔で発する声は顧客にプラスの感情を届けられます。
笑顔で電話は気持ちの問題だけでなく、根拠のあるテクニックです。
姿勢を正す
姿勢によって出せる声は大きく変わります。たとえば、猫背で話をすると、ぼそぼそとした覇気のない声になるはずです。または椅子にのけぞった状態では、ハキハキと喋ることが難しいでしょう。
そのため、テレアポに適した声のトーンを維持するためには、背筋を伸ばした正しい姿勢が大切です。ただし、例外的にお礼や謝罪などで頭を下げる動きは、気持ちが声に乗るためおすすめです。
呼吸を意識する
緊張しているときや不安なとき、人はいつもより呼吸が浅く、早くなります。呼吸が整っていないと以下のデメリットが生じます。
- 酸素が足りなくなり、早足で説明を終えようとしてしまう
- 常に余裕のない雰囲気が出て顧客に不安を与える
浅い呼吸では、ゆっくりと落ちついたスピードを維持できず、顧客に内容が伝わりません。
会話する際は自然と息を吐くため、息を吸うことに意識を向けることで改善できます。また、トークスクリプトに呼吸するポイントをメモしておくのも効果的です。
通常と同じ呼吸をすることで、平常心かつ心地よいトーンで会話を続けられるでしょう。
声で1段階上の好印象を与える方法
電話で顧客に与える印象を変える要素は、声のトーンだけではありません。以下の方法を実践することで顧客にもう1段階上の好印象を与えられます。
- 声は相手に合わせて調整する
- ハキハキと喋る
- 声に抑揚をつける
- 場面に合わせて声のトーンをコントロールする
顧客や場面に合わせた柔軟な対応が基本となるため、少し難易度は高いですが、できることから取り入れましょう。それぞれ解説します。
声は相手に合わせて調整する
これまで声のトーンの基本は解説しましたが、すべての顧客に等しく好印象を与えられるわけではありません。顧客に合わせて細かく調整することで、声のトーンによる効果を最大化できます。
たとえば、心理学の「ペーシング」という考え方があります。これは相手の話すペース、リズム、ボリュームなどに合わせた話し方をすることで、距離が縮まるという理論です。
声のトーンの基本は守りつつも、顧客のトーンに合わせることで、より親近感を与えられるでしょう。
ただし、相手の話すスピードが早い場合は注意が必要です。そのペースに合わせると徐々に会話が早くなり、顧客が説明を理解できなくなる恐れがあります。顧客に合わせつつ、少しずつペースを調整することが重要です。
ハキハキと喋る
聴覚情報しか使えないテレアポでは、ぼそぼそ聞こえづらい話し方では聞いてもらえません。また、ハキハキ喋る方の印象は、明るく爽やかで好印象を与えることが多いでしょう。口を大きく動かし、1音1音はっきりと発音することが大切です。
なお、ハキハキとした印象は、滑舌の良し悪しだけでは決まりません。以下を意識することで、よりハキハキとした印象を強められます。
- 結論から伝える
- 1文を短く伝える
結論から話さず、遠回しに長く話していると、滑舌がよくてもハキハキとした印象にはつながりにくいです。話し方も工夫することで印象をコントロールできます。
声に抑揚をつける
テレアポに適した声のトーンはありますが、常に一定のトーンでは逆効果になります。なぜなら、常に一定のトーンで続く会話は顧客を退屈にさせるためです。たとえば、機械音で一定のトーンを維持した電話は不快に感じる方が多いでしょう。
電話では聴覚情報から多くの情報を得ています。そのため、声の抑揚をつけることで、感情の動きを伝えられ濃いコミュニケーションが可能です。より多くの情報を伝えるためには声の抑揚が活躍します。
場面に合わせて声のトーンをコントロールする
テレアポで案内する内容には、重要な部分とそれほど重要ではない部分があります。そのため、以下のようにそれぞれの場面に合わせて、顧客に与える印象を変えることが大切です。
重要な場面 | 大きな声でゆっくりと話す |
重要ではない場面 | 小さな声で早く話す |
声のトーンを変えることで、顧客は重要な部分を判断できるため、必要なタイミングで集中して話を聞けるでしょう。
小さい声で早く話した部分を顧客が覚えていなくても問題ありません。なぜなら、人間が1度の会話で覚えられる情報には限りがあるため、重要な部分を集中して覚えて欲しいからです。
まとめ:声のトーンを意識してテレアポを成功させよう
テレアポで適切な声の大きさ・高さ・スピードや会話の間について解説しました。それぞれ適した状態にするためには、表情や姿勢、呼吸を意識することが大切です。
また、適切なトーンも一定ではなく、顧客や会話の流れによって柔軟に調整することが求められます。
基本となる声のトーンを身につけ、場面に合わせた対応をすることで、テレアポの成功率を高めましょう。