物流の3PL事業者とは?種類や市場規模まで解説!

物流業界が急速に進化する中で、3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者の重要性がますます高まっています。

本記事では、3PL事業者の基本的な役割や種類など、これらの物流戦略を考えるうえで押さえておきたい基礎知識を紹介します。

3PL事業者についての理解を深め、ぜひ自社の物流戦略にお役立てください。

物流における3PL事業者の意味とは?

3PL事業者とは、EC事業者など荷主に代わって物流業務を受託する企業です。3PLが普及することで地球問題化への対応や地域雇用創出などの効果があるとして、政府も総合的に推進しています。

引用元:国土交通省

国土交通省の3PLについての説明は次のとおりです。

3PL(third party logistics)とは荷主企業に代わって、最も効率的な物流戦略の企画立案や物流システムの構築の提案を行い、かつ、それを包括的に受託し、実行することをいいます。

国土交通省

また、日本産業規格(JIS Z0111)では次のとおり定義されています。ただし、物流事業者が受注するケースもあるとされています。

荷主企業でも物流事業者でもない第三者が荷主のロジスティクスを代行するサービス。

日本産業規格(JIS Z0111)

ロジスティクスの意味

ロジスティクスとは、原料の調達から供給、製品の販売といった一連の流れを合理的に管理するシステムのことです。

物資が荷主から顧客に移動する過程を指す「物流」よりも広い概念といえます。日本産業規格(JIS)では、戦略的な経営管理と定義されています。

ロジスティクスは本来、欧米における軍事用語です。日本語では軍における物資の配給や整備、兵の展開などの諸活動を指す兵站(へいたん)を意味します。ロジスティクスの概念は1960年代の米国産業界で採用され、現在における概念が認識されました。

3PLの読み方

3PLは、「スリーピーエル」と読みます。「Third Party Logistics(サード・パーティー・ロジスティクス)」の略称です。

物流の1PL/2PL/3PL/4PLの違い

サードパーティもあれば、ファーストパーティやセカンドパーティ、フォースパーティもあります。それぞれの違いは次のとおりです。

用語主体概要
1PL
(First Party Logistics)
荷主企業(自己)荷主が自社で物流を行う形態
2PL
(Second Party Logistics)
物流企業(相手)物流会社に特定の輸送や保管を委託する形態
3PL
(Third Party Logistics)
受託企業
(第三者)
物流を包括的に第三者の専門業者に委託する形態
4PL
(Fourth Party Logistics)
包括的に管理する業者に依頼する形態

1PLは自社物流、2PLは配送会社や倉庫会社などの物流関連会社に部分的に委託する形態といえます。これに対し、3PLは部分最適ではなく、全体最適を図った形態と考えるとよいでしょう。

4PLは、米国のコンサルティング会社が提案したビジネスモデルです。しかし、JISでも定義されておらず、確立している統一的な概念はありません。

3PLよりも上流の概念であり、「3PLにコンサルティング要素が加わったソリューション」などと定義されることがあります。

3PLと倉庫業の違い

3PLは、EC事業者など荷主企業の立場で包括的に物流業務を受託します。一方、倉庫業は物流に欠かせない倉庫というインフラを提供し、倉庫業務を受託します。

以上のように、立場と業務範囲が3PLと倉庫業の違いです。

3PL事業者の2つの種類

3PL事業者といっても、アセット型とノンアセット型の2類型に分けられます。アセットは「資産」を意味し、ここでは物流に必要なトラックや倉庫などの物流インフラを指します。

アセット型3PL事業者

トラックなどの輸送手段を保有して輸送サービスを提供したり、自ら倉庫を保有して保管サービスを提供したりする事業者です。

アセット型は自社の資産を利用してサービスを提供しているので、ノウハウを蓄積しやすい特徴があります。

ノンアセット型3PL事業者

トラックや倉庫などの物流資産を持たず、外部の物流業者をコーディネートして物流サービスを提供する企業です。

自社で物流資産を持たないため、クライアントのニーズに合わせて対応できる柔軟性があります。また、複数の物流企業との広範なネットワークを持っているのが特徴です。

物流業務を3PL事業者に委託するメリット

3PL事業者に物流業務を委託するメリットは、以下の5点です。

  • 物流に関わる事務処理の負担を軽減しやすい
  • 物流にかかるコストを最適化できる
  • 顧客満足度の向上が見込める
  • 物流業務の継続的な改善が見込める
  • コア業務にリソースを集中できる

物流に関わる事務処理の負担を軽減しやすい

物流業務は、在庫管理や配送手配、顧客対応など、多岐にわたる細かな事務処理が必要です。自社物流はもちろん、倉庫業者や輸送業者など個別に委託する2PLであっても、取引先が複数なので窓口事務が煩雑になります。

3PL事業者にはこれらの業務を包括して委託できるため、事務処理の負担を大幅に軽減できます。

物流にかかるコストを最適化できる

3PL事業者は多くの荷主企業から依頼を受けているため、スケールメリットを活かした低コスト化も実現しやすくなります。

また、物流業務のプロフェッショナルなので、豊富なノウハウに基づいて適正な在庫管理も可能です。

自社で同じレベルの効率を実現するには膨大な投資と長い時間が必要ですが、3PLを利用すればそのコストとリスクを抑えることができます。

顧客満足度の向上が見込める

迅速で正確な配送は、顧客満足度にポジティブな影響を与えます。3PL事業者は、最新の物流技術と豊富な経験を駆使し、配送の速度と正確さを確保してくれます。

商品の欠品や配送遅延を最小限に抑えることができ、顧客からの信頼を得ることが可能です。

物流業務の継続的な改善が見込める

3PL事業者は、常に市場の変化や技術の進化をキャッチアップし、サービスの改善を続けています。新しいITソリューションや効率化の手法を積極的に取り入れることで、物流の品質と効率を継続的に改善し続けます。

物流業務が本業ではない荷主企業が、物流業界の最新情報をキャッチアップするのは簡単ではありません。3PLを利用することで、最新のサービスを享受できます。

コア業務にリソースを集中できる

物流業務も大切ですが、荷主企業にはほかに本業があります。3PL事業者に物流業務を委託することで、物流業務の品質を落とすことなく、本来のコア業務にリソースを集中できます。

商品開発やマーケティングなど、より直接的にビジネスを成長できる業務に専念できるでしょう。

物流業務を3PL事業者に委託するデメリット

多くのメリットがある一方、3PL事業者へのアウトソーシングには次のデメリットがあります。

  • 現場の運営管理が行き届かないおそれがある
  • イレギュラー対応の品質や速度に不安がある

現場の運営管理が行き届かないおそれがある

3PL事業者は物流のプロですが、取り扱っている商品のプロではありません。そのため、現場において商品の特性や注意事項について細かな管理が行き届かないおそれがあります。

契約前の打ち合わせや契約後の導入時に、商品の取り扱いにおける注意点を共有することは可能です。しかし、現場で要望どおりに管理されているかを把握するのは簡単ではありません。

3PL事業者と良好なコミュニケーションをとり、細かな要望にも確実に対応してもらえるような努力が必要でしょう。

イレギュラー対応の品質や速度に不安がある

物流業務には、予期せぬトラブルがつきものです。3PL事業者に委託することで、こうした場合の対応速度や品質に不安が生じることもあります。

自社物流であれば、顧客からのクレームがあっても急いで代替品の出荷手配をするといった柔軟な対応も可能です。しかし、3PL事業者では緊急時の対応が遅れたり、自社で対応したほうが早かったりといったケースも生じます。

顧客ニーズが多様化するなか、イレギュラーへの対応も想定しておかなければなりません。3PL事業者と契約を締結するときは、イレギュラーを想定して対応方針の取り決めをしておくなどの対策が必要です。

日本における3PL市場規模の推移

日本における3PL市場規模は、株式会社ライノス・パブリケーションズの「月刊 ロジスティクス・ビジネス」がよく参照されています。

これによれば、3PLビジネスの市場規模は2010年以降成長を続け、2020年には約3.3兆円でした。

3PL事業者の選び方

3PL事業者の数は50社を超えており、その中から自社に最適な事業者を選ぶことは簡単ではありません。

そこで、3PL事業者を選ぶうえでの注意点を紹介します。

コストの安さだけを見ない

業者選定ではコストに目が行きがちですが、安さだけで3PL事業者を選ぶのは賢明ではありません。低価格なサービスでも、品質が低ければ結果的に追加コストが発生します。

たとえば、誤配送率が高かったり、商品破損や遅延が頻発すると、顧客満足度は低下します。売上に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

価格だけでなく、提供されるサービスの質や信頼性を考慮することが重要です。現場の作業効率やトラブル対応能力も評価対象としましょう。トータルコストを理解し、投資に見合う価値を提供してくれるかの確認が欠かせません。

大手かどうかだけでなく現場を重視する

大手の3PL事業者は信頼性が高く、安定したサービスを提供している場合が多いです。しかし、ノンアセット型事業者の場合はもちろん、実際には下請け事業者が現場を担当していることがあります。

物流業務において重要なのは、現場力です。現場のオペレーションの質やスタッフの熟練度、実際の業務フローをよく確認しましょう。

現地視察を行うほか、実際に導入している企業のレビューなどから実態を調べることがおすすめです。ニーズに最も適した3PL事業者を見つけるには、大手かどうかだけでなく、現場力も重視すべきです。

ICTの活用が進んでいるか確認する

近年、物流業界でもICT(情報通信技術)の導入が注目されています。3PL事業者が最新のICT技術を活用しているかどうかを確認することは、選定ポイントとして重要と言わざるをえません。

ICTの活用によって、在庫管理やリアルタイムのトラッキング、効率的な配送スケジュール作成などが可能となり、全体の業務効率が向上します。

具体的には、倉庫管理システム(WMS)やトランスポート・マネジメント・システム(TMS)の導入状況などを確認しましょう。テクノロジーの活用により、高い業務品質を確保できるほか、ブラックボックス化しやすい物流業務の透明性が高まります。

まとめ:3PL事業者を活用して物流業務を効率化しよう

3PLとは、荷主企業の立場で、効率的な物流戦略を含めた物流業務を包括的に受託する形態です。自社で物流資産を保有するアセット型3PL事業者と、持たないノンアセット型3PL事業者に分けられます。

包括的に任せられるので、事務処理の負担を軽減しやすく、物流にかかるコストを最適化できることが3PLのメリットです。また、迅速で正確な配送を通じて、顧客満足度の向上が見込めます。

日本の3PL市場規模は上昇の一途をたどっており、これからもますます注目される領域です。ぜひ本記事で紹介した選び方を参考に、信頼できる3PL事業者を探してみてはいかがでしょうか。