テレアポを行う中で難しいことの一つがクレーム対応です。ネガティブなイメージが強く、クレーム対応に課題を抱えている企業の方も多いのではないでしょうか。しかし、正しく対処することで、好印象につながる場合もあります。
本記事では、クレーム対応のポイントや注意点、使える言い回しなどを解説します。マニュアルやトークスクリプトを作成する際の参考にしてください。
テレアポでクレームが発生した場合の対応
テレアポにおいてクレームが発生した場合、以下の対応が必要です。
- お詫びをする
- 相手の話を丁寧に聞く
- タイミングよく相づちを入れる
- 事実確認
- 相手の求める対応を明確にする
- 解決策を伝える
- 対応後は速やかに責任者に報告
ここからは、対応する際のそれぞれのポイントについて詳しく解説します。
お詫びをする
まず相手に対し、不快に思わせたことや迷惑をかけたことについて謝罪します。担当者が不在の場合や事実確認が取れていなくても、他人事として扱わずお詫びをしなければいけません。
しかし自社に非がない場合、全面的に謝罪するとクレームを認めたことになります。必要以上の責任が問われることを防ぐため、「手間をとらせたこと」など範囲を狭めてお詫びすることがポイントです。
相手の話を丁寧に聞く
クレーム内容に問わず相手の話を丁寧に聞き、意図を理解することが大切です。クレームの際は感情的になっていることが多く、話を聞くことで気持ちを落ち着かせる効果があります。オペレーターが傾聴や理解の姿勢を見せることで、安心感にもつながるでしょう。
また、会話の流れで自社に非が認められる場合や、顧客が誤解・誤認識していることが発覚する場合もあります。お詫びの内容や改善点などその後の対応が変わるため、正確な情報を把握するためにも、丁寧に話を聞くことが不可欠です。
タイミングよく相づちを入れる
相手の話に集中していることや共感を示すために、タイミングよく相づちを入れることが大切です。適切な相づちを入れることで、相手の話をさらに引き出したり、安心感を与えたりできます。クレームだからと萎縮して無言になると、相手の怒りが大きくなり、さらなるトラブルを招くこともあります。
画一的にならないよう、相づちのバリエーションを増やしておくと、対応がスムーズになるでしょう。
事実確認
顧客の会話で得た情報や、自社の情報をもとに不備やトラブルがあった事実を確認しましょう。場合によっては、折り返しが必要となることもあります。
オペレーターが自社サービスについて知識を持っていれば、その場で解決できる可能性もあります。オペレーターは顧客対応のスキルだけでなく、自分が関わるサービスの知識も身につけておくことが大切です。
相手の求める対応を明確にする
相手の要求内容を明確にし、それに適した対応が必要です。話を聞いてほしいだけだったり、商品の返品を求めていたりなど、最終的に求めているものは相手によってさまざまです。
注意したいのは、早く解決したいがために、的外れな対応になることです。相手からすると話が伝わっていないと感じ、二次的なクレームに発展する可能性があります。
解決策を伝える
解決策を伝える際は、誠意を示すことが大切です。相手にわかりやすいよう、専門用語の使用は控えて認識の一致が図れるよう説明する必要があります。
要望に答えることが難しい場合、可能な限り要望に添えるような代替案の提案も効果的です。その場合は過剰な対応ではなく、社内の規定内での解決方法を伝えましょう。自己判断で規定外の解決策を伝えた場合、本当はできないことが発覚すると、大きなトラブルを生む可能性もあります。
対応後は速やかに責任者に報告
クレームの対応後は、速やかに責任者に報告が必要です。会話内容や顧客の主張、自分の対応内容などを正確に伝えることが求められます。
クレームがなかったことになると、サービスの改善がみられず、同じようなトラブルが繰り返される可能性があります。そうなると、自社の信頼が落ちることも考えられるでしょう。今後の改善のためにも、自己完結せず責任者に報告することが大切です。
テレアポにおけるクレーム対応の注意点
テレアポでのクレーム対応は、以下の点に留意しましょう。
- 保留の状態で放置しない
- 折り返しの時間を守る
- 事実確認の結果を伝える
- たらい回しにしない
それぞれの注意点について解説します。
保留の状態で放置しない
内容の確認や担当者の交代により、やむを得ず保留にすることもあるでしょう。しかし保留の状態で放置すると、状況が悪化する可能性があります。保留にする場合「約1分程度でご連絡いたします」など、具体的な時間を伝えておくと、相手の不安を軽減できます。
時間がかかる場合は相手の了承を得た上で一旦電話を切り、折り返しましょう。この際、折り返しのタイミングを伝えることを忘れてはいけません。
折り返しの時間を守る
事実確認や担当者の交代が必要となった場合、折り返しで連絡することもあります。その際に伝えた折り返し電話の時間は、必ず守りましょう。
とくに日付を跨いだ場合など、折り返しの約束を忘れないよう注意が必要です。予定欄に目立つ色で記入するなど、リマインドできる工夫をしましょう。
事実確認の結果を伝える
事実確認で判明したことは、解決策を提示する際に顧客に伝えましょう。クレームに至った過程を説明することで、顧客と真摯に向き合っていることのアピールになります。顧客にとっても、解決策が腹落ちしやすくなることが期待できます。
たらい回しにしない
クレーム内容によっては、オペレーターの対応が困難なケースもあります。担当者を何度も交代する、引き継ぐことを繰り返すなど、たらい回しにした場合、顧客のストレスになります。やむを得ず数回担当者が変わった場合、そのことについてもお詫びする必要があるでしょう。
さらに顧客が何度も説明しなければいけない事態になると、怒りを増幅させることにつながります。最初にクレーム対応をした人は、細かにヒアリングして正確な情報を引き継ぐことが必要です。
テレアポのクレーム対応を強化するためのポイント
テレアポのクレーム対応を強化するためには、以下のポイントを押さえて対策を立てておくことが大切です。
- クレーム対応のためのトークスクリプトを見直す
- クレームの原因を分析する
- 顧客との会話を録音する
- クレーム内容はオペレーター間で共有する
- オペレーターの教育を行う
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
クレーム対応のためのトークスクリプトを見直す
クレーム対応に向けたトークスクリプトは、内容や状況にわけて定期的な見直しが必要です。他の人に交代せず解決できる場合もあるため、属人化の防止も期待できます。
トークスクリプトを見直すことで、対応に一貫性を持たせることも可能です。
関連記事:テレアポのトークスクリプトとは?作り方や例文も紹介
クレームの原因を分析する
クレームが発生した原因を突き詰めていくことで、今後の改善に活かすことも可能です。たとえば、顧客の怒っているポイントが商品の使いにくさであれば、商品開発部門と相談して見直す必要があります。クレームの分析をもとに、サービスやオペレーターの質など問題の原因がわかり、効果的な業務改善につなげやすいです。
顧客との会話を録音する
対応力を強化するためには、顧客との会話内容を録音しておくことも効果的です。内容の検証ができることで、客観的な原因の分析や、トラブルに発展した際の証拠が確保できます。
また、会話の開始時に録音していることを相手に伝えることで、過剰なクレームをけん制することも可能です。
クレーム内容はオペレーター間で共有する
対応した後は、クレームの内容をオペレーターの間で共有することが必要です。対応内容を知ることで、同じ事象が発生した際にスムーズな対応ができます。また、クレームを発生させないスマートな対応を身につけることもできるでしょう。
オペレーターの教育を行う
クレームのなかには、オペレーターの対応に不満を持ったことが原因となる場合もあります。顧客とのやり取りのみでなく、その後の報告など手順を仕組化して、落とし込むことも必要です。オペレーターに必要とされるスキルを今一度把握しておき、定期的な教育を実施しましょう。
悪質なクレームには慎重な対応が必要
クレームのなかには、理不尽な要求をしてきたり、事実無根の内容をでっち上げたりなど、悪質なものも存在します。必要以上の対応をすることで、会社が不利益を被る場合もあります。
さらに、一度要求を飲むとエスカレートする場合もあるため、ときには毅然とした対応も必要です。自社で手がつけられない場合は、警察や弁護士に相談することも検討しましょう。
テレアポのクレーム対応で使える言い回し
テレアポのクレームにスムーズに対応するためには、言い回しを身につけることも大切です。
- お詫び
- 相づち
- 要望を確認する
- 解決策を伝える
- 電話を切るとき
以下で解説する言い回しを使うだけでも、相手に敬意を示した対応になるため、ぜひ参考にしてください。
お詫び
- 「お手間を取らせてしまい、申し訳ございません」
- 「ご不快な思いをさせてしまいお詫び申し上げます」
- 「弊社にて事実確認をいたしましたところ、ご指摘の通り○○の対応に問題があったことを確認しました」
まず相手に対して迷惑をかけたことや、電話する手間をかけたことなどについて、お詫びする必要があります。事実が確認できた場合も、あらためてお詫びが必要です。
相づち
- 「はい」
- 「ええ」
- 「さようでございますか」
- 「かしこまりました」
- 「状況、よく理解できました」
クレーム対応における相づちは、「理解を示す」ことがポイントです。バリエーションが多いと、事務的な印象を与えず、心情に寄り添う姿勢を見せられます。自分の家族など大切な人の話を聞いているつもりで相づちを使うと、効果的です。
要望を確認する
- 「お客様がご覧になったのは、〇〇でしょうか」
- 「〇〇ということでございますね」
- 「〇〇については、ご理解いただけましたでしょうか」
話の要約をしたり、相手の状況・要望を確認する際に使えるフレーズです。角を立てることなく、必要な内容を確認できます。
解決策を伝える
- 「すぐに代替品をお送りいたします」
- 「○○でお差し支えなければ、本日ご用意可能ですが、いかがでしょうか」
- 「大変恐縮ですが、あいにくそのようなご要望にはお応えできかねます」
- 「お役に立てず心苦しいのですが」
解決策や代替案の提案に使える言い回しです。顧客に無理難題を押し付けられるなどの場合は、毅然とした対応が必要です。
電話を切るとき
- 「この度は、ご不便をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます」
- 「貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました」
- 「ご指摘いただきましたことは、サービス改善のため、社内で共有いたします。ありがとうございました」
電話を切る際も、事務的な対応ではなく配慮を示すことが大切です。クレーム内容を貴重な意見として今後に活用する旨伝えることも、ポジティブな印象を残せます。あらためてお詫びを伝えるとともに、感謝の言葉で締めくくることがポイントです。
また電話を切る際は、相手が電話を切ってから切りましょう。気持ちのよい印象で終えることが大切です。
真摯なクレーム対応で顧客との信頼関係を構築しましょう
さまざまな理由でクレームは発生しますが、大切なのはお詫びの気持ちと、心情を理解した上で的確な対応をとることです。そのためには、傾聴姿勢や解決策を提案する真摯な対応が求められます。クレーム対応ひとつでも自社へのイメージを左右するため、対応が素晴らしければファンになってくれるチャンスともいえるのです。
本記事で紹介したクレーム対応のポイントや言い回しを理解し、スムーズなクレーム対応に活用してください。