サイトやホームページ制作に必要な仕様書とは?書き方や作り方を解説

Webサイトやホームページの制作には、プロジェクトの目的や要件を明確にするための仕様書が必要です。クライアントと制作会社の間で共有することにより、制作がスムーズに進みます。

しかし初心者にとって、仕様書の作成は難しいと感じることも少なくありません。

そこで本記事ではWebサイト制作における仕様書について、必要性やメリット、作成方法などを詳しく解説します。

仕様書を正しく作成することで、クライアントも制作会社も満足できるWebサイトにつながるしょう。

Webサイトやホームページ制作に必要な仕様書とは

仕様書は制作するサイトの全体的な構造やデザイン、機能に関する詳細な情報が記載された文書です。

具体的にはサイトの目的やターゲットユーザー、ページの構成やデザインの方向性、使用する技術や機能要件、運用・保守に関する事項等が含まれます。

また、プロジェクトの進行状況やスケジュール管理、作業担当者の割り振り等も明記される場合があります。そのため、制作会社やデザイナーに依頼する際は、仕様書をもとに適切な見積もりや料金の相場を把握することが可能です。

サイト制作における仕様書の役割

仕様書の役割は、クライアントと制作会社の間でサイトの制作目的や要件を明確にし、共通認識を持つことです。

また、クライアントと制作会社のコミュニケーションを円滑にするツールとしても機能します。仕様書を基に制作の詳細や変更点などを話し合うことで認識のズレを防ぎ、よりよいサイトを制作できるでしょう。

さらに、サイト制作における品質管理の基準としても役立ちます。仕様書に記載された内容と実際の制作物を照らし合わせることで、品質の確認や修正箇所の特定が容易になるでしょう。

このように、仕様書を適切に作成・活用することで協力関係を強化し、プロジェクトの成功につなげます。

仕様書が必要な理由

仕様書が必要な理由はクライアントと制作会社の認識の違いを防ぎ、円滑にプロジェクトを進めるためです。

仕様書がない場合、クライアントと制作会社の間で要件の解釈にズレが生じ、制作物が期待通りのものにならないリスクがあります。また、制作途中での仕様変更や追加要件が発生した際にも、仕様書を基準として対応を協議できます。

仕様書はクライアントと制作会社双方にとって、プロジェクトを成功に導くための重要なツールといえるでしょう。

仕様書と要件定義書の違い

どちらもサイト制作において重要な文書ですが、その役割は異なります。

要件定義書はサイト制作の目的や実現したい機能・要件を整理するための文書。一方、仕様書は要件定義書で定めた内容を基に、より詳細な仕様を記述する文書です。

仕様書にはサイトマップやワイヤーフレーム、デザインイメージ・機能の詳細・スケジュールなど、サイト制作に必要な具体的な情報が盛り込まれます。

要件定義書が「何を作るか」を定めるのに対し、仕様書は「どのように作るか」を定めるといえるでしょう。

Webサイトやホームページ制作で仕様書を作成するメリット

仕様書の作成はクライアント・制作会社の双方にとって多くのメリットがあります。

  • 依頼内容をまとめやすくなる
  • 修正や追加依頼がしやすくなる
  • 担当者とのコミュニケーションがスムーズになる

ここでは仕様書の作成で得られる、3つのメリットを詳しく見ていきましょう。

依頼内容をまとめやすくなる

仕様書にはサイトの目的やデザインの方向性、必要な機能・ターゲットユーザーなど、プロジェクトに関する詳細が網羅的に記載されます。

仕様書に記載された内容により、クライアント自身が自分の要望を整理し、具体的なビジョンを形成する手助けになるでしょう。また、このプロセスを通じて新たなアイデアが浮かぶこともあり、より良いサイト制作につながります。

修正や追加依頼がしやすくなる

制作プロセスにおいて、当初の予定になかった変更や追加が発生することは珍しくありません。

しかし、仕様書がない場合は変更・追加の依頼が制作会社に正確に伝わらず、手戻りが発生するリスクがあります。仕様書があれば変更・追加の内容を明確に文書化でき、制作会社との協議もスムーズに進めることができます。

このように、仕様書があればクライアントの要望に沿ったサイトを効率的に制作できるでしょう。

担当者とのコミュニケーションがスムーズになる

Webサイトやホームページ制作では、クライアントと制作会社の担当者が密にコミュニケーションを取ることが重要です。

仕様書があればクライアントの要望や制作の方向性を明確に共有でき、認識のズレを防ぐことができます。また、仕様書を基に定期的に進捗状況を確認し、問題点や改善点を話し合うことでよりよいサイトを制作できるでしょう。

ホームページ制作の仕様書に必要な内容

ホームページを制作する際、仕様書には以下のような内容を記載しましょう。

  • 現状で抱えている課題
  • プロジェクトの概要
  • 納期までのスケジュール表
  • 構造を理解するためのサイトマップ
  • ワイヤーフレーム(レイアウトの設計図)

ホームページの仕様書には、プロジェクトに必要な情報を漏れなく記載することが重要です。それぞれについて詳しく解説していきます。

現状で抱えている課題

例えば、以下のような課題が考えられます。

  • アクセス数が少ない
  • お問い合わせが少ない
  • 顧客満足度が低い
  • ブランドイメージが悪い

課題を明確にすることで、新しいホームページに求める機能やデザインのポイントを明らかにできるでしょう。また、現状の課題を整理することで、ホームページ制作の優先順位を決める判断材料にもなります。

プロジェクトの概要

プロジェクトの概要には、以下のような内容を記載します。

  • ホームページの種類 (コーポレートサイト、ECサイト、LPなど)
  • ターゲット
  • デザインのイメージ
  • 機能
  • コンテンツ

制作会社がプロジェクトの全容をイメージしやすくなり、クライアントの期待に沿ったホームページを制作できるようになります。

また、予算や納期についてもクライアントの希望を明示することで、制作会社がプロジェクトの規模や実現可能性を判断しやすくなります。

関連記事:Webサイトやホームページ制作の種類を目的別に解説!

納期までのスケジュール表

プロジェクトのタイムラインや重要なマイルストーンを示すスケジュール表を仕様書に含めることは、期限内に品質の高い成果を得るために必要です。

スケジュール表には以下のような内容を記載しましょう。

  • 企画・設計
  • デザインやコーディング
  • テストから納品まで

また、クライアントによる確認や承認が必要な時点も明示しておきます。

スケジュール表があれば、クライアントと制作会社の両者が進捗状況を把握しやすくなり、計画的にプロジェクトを進められます。スケジュールに遅れが生じた場合も、早期に対策を講じることが可能です。

構造を理解するためのサイトマップ

サイトマップは、ホームページの構造を図で表したもので、ユーザーがどのようにホームページを閲覧するのかを理解するのに役立ちます。

トップページやカテゴリーページ、詳細ページなど各ページの関係性や導線を示すことで、ユーザーにとって分かりやすいナビゲーションを設計できるでしょう。

また、サイトマップを作成する過程で不必要なページや冗長な構造を発見し、改善することも可能です。サイトの構造についての認識を共有することで、より効果的なホームページ制作につながります。

ワイヤーフレーム(レイアウトの設計図)

ワイヤーフレームは、Webページの基本的なレイアウトを示す設計図であり、ページ上の各要素の配置と機能を概略的に示します。作成することでデザインやコーディングの作業をスムーズに進められるでしょう。

ワイヤーフレームには以下のような情報を記載します。

  • ヘッダーやフッター
  • メインコンテンツ
  • サイドバー
  • ボタンやテキスト

事前に仕様書へ記載しておくことで、デザインの制作に入る前にレイアウトの修正や改善を行えるため、手戻りを防げるでしょう。

ホームページ制作に必要な仕様書を作成する時の注意点

ホームページ制作の仕様書を作成する際、いくつか注意する点があります。

仕様書に漏れなく必要な情報を記載することで、クライアントと制作会社の認識の違いを防ぎ、スムーズなホームページ制作が可能になります。

  • スマホやブラウザへの対応について
  • サーバーやドメインなど運用・保守について
  • 原稿や素材などコンテンツの準備について
  • 支払方法や時期について

詳しくは以下で解説しますので、仕様書作成の際に参考にしてください。

スマホやブラウザへの対応について

スマホやタブレットでホームページを閲覧するユーザーが増加しています。仕様書にはレスポンシブデザインに対応する必要があるか、対応するブラウザなどを記載しましょう。

レスポンシブデザインとは、画面のサイズに合わせてレイアウトを自動調整するデザインです。スマホやタブレットでも見やすく、使いやすいホームページを制作できます。

また、異なるブラウザ間での互換性も考慮し、すべてのユーザーにとってアクセスしやすいサイト設計を心がける必要があります。

デバイスやブラウザへの対応は、ユーザーエクスペリエンスを大きく左右するため、仕様書には明確に記述しましょう。

サーバーやドメインなど運用・保守について

仕様書には使用するサーバーの種類やスペック、ドメイン名の選定基準などを記載し、将来的なトラフィック増加にも対応できる余裕を持たせることが大切です。

また、定期的なバックアップやセキュリティ対策など、運用・保守に関する詳細な計画も盛り込むことで、トラブル発生時のリスクを軽減できます。

仕様書に明記することでクライアントと制作会社の役割分担を明確にし、長期的な視点でホームページを管理できるでしょう。

原稿や素材などコンテンツの準備について

仕様書には必要なテキストコンテンツや画像・動画などの素材の詳細を記載し、それらがどのようにサイト上で使用されるかを明確にします。

コンテンツの準備には時間がかかることもあるため、早めに計画を立ててスケジュールに余裕を持たせることが重要です。

また、著作権に配慮した素材選びも忘れてはいけません。コンテンツの準備について仕様書に記載することで、クライアントと制作会社の協力体制を構築し、質の高いホームページを制作できるでしょう。

支払方法や時期について

プロジェクトの総額や支払いのスケジュールについて、具体的に記載しましょう。

一般的には着手時・中間納品時・最終納品時など、プロジェクトの節目に合わせて分割払いを行うケースが多いでしょう。

また、支払い方法についても銀行振込やクレジットカード決済など、明確にすることが大切です。万が一、支払いが遅延した場合の対応についても、仕様書に含めておくことをおすすめします。

支払いに関する事項を仕様書に明記することで、クライアントと制作会社の間で金銭面でのトラブルを防ぐことができます。また、プロジェクトの予算管理にも役立つでしょう。

まとめ:Webサイト制作依頼時には仕様書が必要

Webサイト制作の成功には、クライアントと制作会社の緊密なコミュニケーションが欠かせません。その基盤となるのが、適切に作成された仕様書です。

本記事ではWebサイトやホームページ制作に必要な仕様書について、その役割や重要性、作成する際のポイントや注意点を解説しました。

仕様書があれば制作会社はクライアントの要望を的確に把握し、期待通りのWebサイトを制作できるでしょう。ぜひ仕様書を活用して、スムーズなWebサイト制作を進めてください。