サイトの制作方法にはさまざまなアプローチが存在します。そのなかでもフルスクラッチ開発は、ゼロからコードを書き上げる手法です。
この記事ではフルスクラッチ開発の特徴を解説し、パッケージ開発との違いについても触れます。さらに自社開発と外注のメリットとデメリットも比較しています。
Webサイト制作を検討している方は、ぜひ参考にして自社に最適な開発手法を選択してください。
ホームページやWebサイトの構築方法は4つ
ホームページやWebサイトを構築する方法は、大きく分けて4つあります。それぞれの方法には特徴があり、目的や予算・技術力に応じて選択しましょう。
構築方法 | 特徴 |
フルスクラッチ開発 | 完全カスタマイズ可能 特定のニーズに合わせて一から設計と開発を行う |
HTMLやCSSを用いた静的サイト | シンプルかつ軽量で表示速度が速い機能や動的要素は限定的 |
WordPressなどCMSの利用 | テンプレートやプラグインを利用して手軽にサイト構築 非技術者でも管理・更新が容易 |
ホームページ制作代行サービス | 全ての制作過程を専門業者が担当 時間がない場合や専門知識がない場合に最適 |
以下で詳しく見ていきましょう。
フルスクラッチ開発
HTMLやCSS・JavaScriptなどの言語に加え、PHPやRubyなどのサーバーサイド言語を使用し、動的なWebサイトを作成します。
この方法は制約に縛られることなく、完全にカスタマイズ可能なサイトを作れます。独自の機能や複雑な処理が必要な場合に適していますが、開発には高度な技術力と多くの時間が必要です。
また、セキュリティ対策や継続的なメンテナンスも重要になります。大規模なECサイトやSNSなど、独自性の高いWebサービスを構築する際に選択されることが多い方法です。
HTMLやCSSを用いた静的サイト
静的サイトはHTMLとCSSのみで構成されたシンプルなWebサイトです。各ページが固定的で、動的な要素や複雑な機能は含まれません。
この手法の特徴はシンプルで速いロード時間と、サーバーに対する要求が少ないことです。しかし、更新や管理には手間がかかります。
また、サイト上でユーザーの入力に基づいた動的な変更を行うことはできません。HTMLとCSSの知識が必要ですが、初心者でも比較的学習しやすい言語といえるでしょう。
小規模な企業サイトやポートフォリオ、イベント告知ページなどに適しています。
WordPressなどCMSの利用
CMS(コンテンツ管理システム)を利用すると、プログラミングの知識がなくてもWebサイトの構築や管理が可能です。
特にWordPressは世界中で広く使われているCMSで、豊富なテーマやプラグインが提供されています。デザインや機能を簡単に追加できるため、手軽に高品質なサイトが構築可能です。
また、記事の投稿や更新・メディア管理などもシンプルな操作で実行できるため、運用面でも優れています。ブログやニュースサイト、商品のカタログサイトなど定期的に内容を更新するサイトに最適です。
ただし、セキュリティ対策やアップデートには注意が必要です。どちらも怠ると、脆弱性を突かれてサイトが改ざんされるリスクがあります。
また、プラグインの中にも脆弱性を含むものがあるため、信頼できる提供元のプラグインを選びましょう。
関連記事:WordPressでのサイト制作の費用相場は?自作や外注時の比較
ホームページ制作代行サービス
Webサイト制作を専門企業に依頼する場合、要件定義からデザイン・開発・納品・その後の運営サポートまで、一連のプロセスを任せられます。
自社でWebサイト制作のための人材や知識・ツールを用意する必要がないため、コストと手間を削減できます。また、専門家によるアドバイスやサポートを受けられるため、高品質なWebサイトを短期間で立ち上げることが可能です。
ただし、費用は他の方法と比べて高くなる傾向があります。自社でのWebサイト制作が難しい場合や、短期間で作りたい場合に適しています。
ホームページのフルスクラッチ開発は時代遅れ?
Webサイト制作の開発方法は多様化しており、フルスクラッチ開発以外にもさまざまな選択肢が存在します。フルスクラッチ開発は高度な技術力を要するため、現代では敬遠されがちです。
しかし、フルスクラッチ開発にはパッケージ開発にはない利点もあります。
- パッケージ開発との違い
- フルスクラッチ開発のメリットとデメリット
- フレームワークは使用しない?
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
フルスクラッチ開発とパッケージ開発の違い
フルスクラッチ開発はWebサイトをゼロから自分で設計し、コーディングする方法です。
一方、パッケージ開発は既存のソフトウェアやサービス(例えばWordPress)を基に、Webサイトを構築します。
フルスクラッチ開発 | パッケージ開発 | |
カスタマイズ性 | 高いカスタマイズ性 要件に完全に合わせた開発が可能 |
カスタマイズ性は限定的 基本的なカスタマイズは可能だが深い変更は困難 |
開発コスト | 高コスト 開発には時間と専門スキルが必要 |
低コスト 既製品を利用するため、開発にかかる費用は抑えられる |
開発期間 | 長い開発時間が必要 全てを一から設計・構築するため |
短い開発時間 基本的な機能は既にパッケージとして用意されている |
技術的要求 | 高い フルスクラッチ開発には広範な技術知識が必要 |
比較的低い パッケージの設定やカスタマイズは基本的な技術で可能 |
独自性 | 高い 完全にオリジナルのWebサイトを作成できる |
低い 土台となるシステムが同じであるため、他社と似たような機能やデザインになりがち |
保守・運用 | 負担が大きい 長期的な保守やアップデートが必要 |
比較的容易 パッケージ提供者からのサポートやアップデートが利用可能 |
フルスクラッチとパッケージ開発、それぞれに最適な状況を理解し、賢明な選択を行いましょう。
フルスクラッチ開発のメリット
フルスクラッチ開発のメリットは、自由度の高さです。独自の機能やデザインを思い通りに実装できるため、他社とは差別化されたオリジナリティあふれるWebサイトを構築可能です。
また、不要な機能を含まないため、サイトの軽量化や高速化が図れます。セキュリティ面でも自社で管理できるため、リスク対策が講じやすいというメリットがあります。
フルスクラッチ開発のデメリット
フルスクラッチ開発のデメリットは、開発に時間と専門知識が必要な点です。1からの構築となるため、開発期間が長期化しがちです。
また、高度な技術力を持つエンジニアが必要となり、人材確保や教育にコストがかかります。さらに、機能追加や改修の際にも専門的な作業が発生するため、メンテナンス性もあまり高くありません。
フルスクラッチ開発ではフレームワークは使用しない?
フレームワークとは、Webサイト開発を効率化するためのツールです。あらかじめ用意されたコードや機能を利用することで開発時間を短縮し、エラーを減らせます。
近年ではさまざまなフレームワークが開発されており、それぞれ異なる機能や特徴を持っています。フルスクラッチ開発では、必ずしもフレームワークを使用する必要はありません。
しかし、フレームワークを使用することで開発効率を上げ、高品質なWebサイトを構築できます。
ホームページ制作でフルスクラッチ開発を選ぶ基準
フルスクラッチ開発は高い自由度と独自性を実現できる反面、開発に時間と専門知識が必要です。そのため、フルスクラッチ開発を選択する際は、いくつかの基準を考慮しなければいけません。
- 独自の機能が必要かどうか
- パッケージ開発で代用可能か比較する
- 開発のための時間や人材・費用を考慮する
- 信頼できるWebサイト制作依頼を探す
それぞれについて詳しく解説していきます。
独自の機能が必要かどうか
特殊な検索機能やユーザー管理機能、複雑な計算処理を必要とするツールなどは、パッケージ開発では難しい場合があります。また、自社のブランドイメージに合わせた独特のデザインを適用したい場合も、フルスクラッチ開発が適しています。
一方でブログ機能やお問い合わせフォーム、基本的なECの機能など一般的な要件であれば、パッケージ開発で十分でしょう。自社サイトに必要な機能を洗い出し、独自性が求められる部分の特定が、フルスクラッチ開発を選択する基準となります。
パッケージ開発で代用可能か比較する
CMSやECプラットフォームには、さまざまなテーマやプラグインが提供されており、ある程度のカスタマイズが可能です。
例えばWordPressでは豊富なテーマが用意されており、デザインを調整する選択肢があります。必要な機能がパッケージ開発で実装できる場合は、フルスクラッチ開発と比較して開発期間の短縮とコストの削減が見込めます。
ただし、パッケージ開発では実現が難しい機能もあるため、要件を細かく分析して適切な開発手法を選択しましょう。
開発のための時間や人材・費用を考慮する
フルスクラッチ開発にはHTMLやCSS・JavaScript、サーバーサイド言語など幅広い技術スキルが求められます。
社内に適切なスキルを持ったエンジニアがいない場合、外部リソースの活用や人材の採用・教育が必要になります。また、1からの開発となるため、開発期間は長期化しがちです。
機能の規模や複雑さによっては、数ヶ月から1年以上の開発期間が必要です。さらに、開発費用も高額になる傾向があります。
人件費や外部リソースの活用費用、インフラ費用などのコストが発生します。これらの要素を総合的に判断し、自社の体制や予算に見合った開発手法を選択しましょう。
信頼できるWebサイト制作会社を探す
自社でフルスクラッチ開発を行うリソースが確保できない場合は、信頼できるWeb制作会社に開発を依頼しましょう。サイト制作は単にデザインやコーディングだけでなく、企画・設計からコンテンツ制作、SEOなどさまざまな工程が必要です。
会社選びの際は以下の点に注意しましょう。
- 開発実績や技術力
- コミュニケーション
- 見積もりの妥当性
- アフターサポート
信頼できるWebサイト制作会社を見つけることで、高品質なホームページを制作できます。
ECサイトのフルスクラッチ開発方法について
ECサイトをフルスクラッチで開発する際は、自社開発と外注開発の2つの方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社の状況に合わせて適切な方法を選択しましょう。
自社開発のメリット・デメリット
自社開発には以下のようなメリット・デメリットがあります。
メリット | デメリット |
自社の要件に完全に適合したECサイトを構築可能 | 開発に必要な人材や技術力を社内で確保する必要がある |
独自の機能や設計を自由に実装できる | 優秀なエンジニアの採用や教育に時間がかかる |
柔軟なカスタマイズが可能 | 高い初期コスト |
開発ノウハウが社内に蓄積される | 開発期間が長期化しやすい |
長期的なメンテナンスや機能拡張をしやすい | 市場の変化に柔軟に対応しづらい |
開発を外注するメリット・デメリット
開発を外注する際のメリット・デメリットについてです。
メリット | デメリット |
社内リソースを割かずに開発できる | 自社の要件を的確に伝え、密にコミュニケーションを取る必要がある |
専門性の高いチームに開発を任せられる | 開発会社との認識のずれによって、意図したものと異なるECサイトが出来上がるリスクがある |
最新の技術や知見を活用した高品質なECサイトを構築可能 | 開発ノウハウが社内に蓄積されない |
開発コストを明確に把握できる | 将来的な機能拡張やメンテナンスに外部リソースへの依存が続く |
外注開発を選択する際はこれらの点を考慮し、自社に適した開発会社を慎重に選びましょう。
まとめ:Webサイトのフルスクラッチ開発は制作会社への依頼がおすすめ
フルスクラッチ開発は高い自由度と独自性を実現できる一方で、開発に専門的な技術力と多くの時間を要します。自社開発には人材の確保や教育、長期的な開発期間などの課題があるため、制作会社への依頼がおすすめです。
信頼できる制作会社を選ぶことで、自社の要件に合ったWebサイトを効率的に構築できます。ぜひこの記事を参考に、最適な開発方法や制作会社への依頼を検討してください。