ホームページ作成費用の勘定科目は?資産計上の場合や会計処理の例

制作会社にホームページ作成費用を支払ったとき、どの勘定科目を使えばよいかわからず悩んでいませんか。勘定科目がわからないと会計処理が進まないため、困っている方も多いでしょう。

実際、ホームページ更新の有無や作成してもらった具体的な機能によって使用する勘定科目は変わるので、判断が難しい場合もあります。

そこで本コラムでは、ホームページ作成費用に使用する勘定科目を紹介します。サーバーやドメインにかかった費用の勘定科目もわかるので、ぜひお役立てください。

ホームページ作成費用の勘定科目

ホームページ作成費用の勘定科目は、1年以内に更新する場合は広告宣伝費、更新しない場合は繰延資産を使用します。

ただし、プログラム(ソフトウェア)部分については無形固定資産として計上しなければなりません。

それぞれ具体的に解説していきます。

通常は広告宣伝費

ホームページ作成費用の勘定科目は、通常、商品やサービスの広告を目的にしているため広告宣伝費とします。

広告宣伝費とは、不特定多数の人に向けた広告宣伝にかかった費用を処理する勘定科目です。テレビCMやリスティング広告にかかった費用などを処理します。

ただし、広告宣伝費を使っていない場合もあるでしょう。その場合は販売促進費などで処理する方法も考えられます。

今期は販売促進費、来期は広告宣伝費のように、期間によって使用する勘定科目を変更することは避けましょう。一度決めた勘定科目は変更しないのが、会計の原則です。

1年以上更新しないなら繰延資産として資産計上

1年以上更新しない場合は、繰延資産の勘定科目を使って資産に計上します。ホームページ作成費用が発生した年に、全額を必要経費(法人は損金)にはできません。

なお、前払費用は期末時点でまだ提供を受けていない、継続的に役務の提供を受けるために支出した費用に使います。ホームページ作成の契約が請負契約の場合に適用するのは妥当ではないでしょう。

1年以内に更新するかどうかで「費用(広告宣伝費)」にするか「資産(繰延資産)」にするか変わる理由は、費用収益対応の原則があるからです。

費用収益対応の原則とは、費用と収益を対応させる原則のこと。例えば、2年後に販売する製品のチラシを今年配っても、今年の費用として処理しません。チラシを配った効果は、今年ではなく2年後から収益に反映されるからです。

ホームページ作成費用について、国税庁のWebサイトでは過去に以下の記載がありました。

通常、ホームページは企業や新製品のPRのために制作されるものであり、その内容は頻繁に更新されるため、開設の際の制作費用の支出の効果が1年以上には及ばないと考えられますので、ホームページの制作費用は、原則として、その支出時の損金として取り扱うのが相当であると考えられます。

つまり国税庁は、ホームページは頻繁に更新されるので、作った当初のページの効果は1年以上に及ばず、費用として処理するのが妥当と考えています。反対に解釈すると、更新しない場合は当初のページの効果が1年以上継続するため、資産として処理するのが妥当です。

ECサイトなどはソフトウェアとして資産計上

ECサイトやネットショップなどに含まれるコンピュータプログラムは、費用ではなく無形固定資産(ソフトウェア)として計上します。

作成したホームページが会社や商品・サービスの紹介(コンテンツ)にとどまらず、次のような機能(プログラム)を含む場合はソフトウェアに該当する可能性があります。

  • 会員登録
  • ログイン
  • ショッピングカート
  • ゲーム

ただし、ソフトウェアの取得価額が10万円未満であれば少額減価償却資産として「消耗品」などの勘定科目を使って費用処理できます。

また、税法上の中小企業者等に該当する場合、ソフトウェア(コンピュータプログラム)の取得価額が30万円未満であればその年に全額を必要経費(損金)にすることが可能です。

ソフトウェア(プログラム)を購入したのか制作してもらったのかなどで細かい処理方法が変わる場合もあるので、迷ったら税務専門家に相談しましょう。

費用と資産を区分できる場合は区分する

ECサイトを作成してもらった場合でも、機能(プログラム)を取得した金額とコンテンツを制作してもらった部分の金額を明確に分けられる場合は、それぞれ区分して処理します。

請求書に「ホームページ作成費用一式」とまとめられていた場合は区分が難しいですが、細かく項目ごとに分けて記載がある場合は区分して処理しましょう。

ホームページ作成費用の会計処理(仕訳例)

広告宣伝費(費用)として処理する場合と、資産として処理する場合に分けて、会計処理の例(仕訳例)を紹介します。

広告宣伝費の場合

ホームページ作成費用として、50万円の請求が発生したときは以下のように仕訳します。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
広告宣伝費500,000円普通預金500,000円

現金で支払った場合、貸方の勘定科目は現金です。摘要欄がある場合は、「ホームページ作成費」など、後から見てもわかりやすい記載をしましょう。

資産計上の場合

ECサイトなどを取得し、ソフトウェア(無形固定資産)として計上する場合の仕訳例は次のとおりです。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
ソフトウェア500,000円普通預金500,000円

なお、資産に計上して費用配分するとき(償却時)の仕訳例は後述します。

ホームページの耐用年数(償却方法)

資産として計上する場合、気になるのが何年にわたって経費にできるかです。ソフトウェアと繰延資産それぞれについて、耐用年数が何年なのか、具体的な償却方法はどうするのかを解説します。

ソフトウェア(無形固定資産)の耐用年数は5年

ソフトウェアの税法上の耐用年数(法定耐用年数)は5年なので、5年にわたって均等に償却します。つまり、毎年20%ずつ必要経費(損金)にすることが可能です。

なお、無形固定資産は税法で償却方法は定額法しか認められていないので、定率法による償却はできません。

仮に取得時に50万円の資産計上をしたソフトウェアを期末の決算時に償却する場合、1年目は次のように仕訳します。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
減価償却費100,000円ソフトウェア500,000円

2年目は次のとおりです。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
減価償却費100,000円ソフトウェア400,000円

このようにして、毎期末にソフトウェアの簿価(帳簿価額)を減らして費用に配分していきます。

繰延資産の耐用年数は効果の及ぶ期間

1年以上更新しないために勘定科目として繰延資産を使用した場合、耐用年数は「その支出の効果の及ぶ期間」です。

ただし、繰延資産の中でも開業費や開発費の場合は原則5年(60月)ですが、任意に一括償却することもできる場合があります。

繰延資産の区分に困った場合は、税務専門家に相談しましょう。

ホームページに関する作成費以外の勘定科目

ホームページを作成したときは次の費用もかかることがあるので、どの勘定科目がよいのか迷うこともあるでしょう。

  • ドメイン費用
  • サーバー利用料
  • 更新料(SEOコンテンツ制作費)
  • SSL証明書取得費

各費用について、どの勘定科目を使用すべきか解説します。

ドメイン費用の勘定科目

ドメイン登録費用は、以下のうちいずれかの勘定科目を選択し、継続的に適用します。

  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 支払手数料

登録料と更新料のどちらにもこれらの勘定科目を使用できますが、登録料と更新料で勘定科目を別にするのは避けましょう。

なお、2年契約など1年を超える契約をした場合は、費用収益対応の原則により、超える部分について前払費用で処理するのが基本です。翌期分のドメイン代を今期の費用とするのは妥当ではないからです。

例えば、2年契約で1年目分が5,000円、2年目分が5,000円である場合、支払時には次のように仕訳します。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
通信費10,000円普通預金10,000円

期末の決算時は次のとおりです。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
前払費用5,000円通信費5,000円

翌期に入ったら2年目分のドメイン費用も費用にできるので、次のとおり再振替します。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
通信費5,000円前払費用5,000円

とはいえ、少額である場合などは無理して前払費用を使って費用収益を対応させる必要はないので、支出した年に一括して費用としても問題ありません。

サーバー利用料の勘定科目

レンタルサーバーを契約した場合は、レンタルサーバー事業者にサーバー利用料を支払います。サーバー利用料もドメイン費用と同様に、以下のうちいずれかの勘定科目を選択し、継続的に適用しましょう。

  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 支払手数料

例えば、レンタルサーバー代として10,000円を支払った場合は次のように仕訳します。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
通信費10,000円普通預金10,000円

前払費用を使って費用収益を対応させる場合も、ドメイン費用と同じ処理です。

更新料(SEOコンテンツ制作費)の勘定科目

ホームページの更新を制作会社に任せたり、SEOコンテンツを作成してもらったりなど、ホームページのコンテンツ作成のために支出した費用は、広告宣伝費を使用して費用処理します。

例えば、制作会社にコンテンツ作成費として10万円支払った場合は次のとおりです。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
広告宣伝費100,000円普通預金100,000円

関連記事:ホームページやWebサイト集客におけるSEOとは?

SSL証明書取得費の勘定科目

インターネット上のデータ通信を暗号化するSSL/TLSは、ホームページを作成するうえでほとんど対応が必須なものとなりました。ホームページをSSL化するために必要なSSL証明書は認証局(CA)と呼ばれる機関から購入します。

SSL証明書取得費の勘定科目も、ドメイン・サーバーと同様に、以下のうちいずれかの勘定科目を選択して継続的に適用しましょう。

  • 通信費
  • 広告宣伝費
  • 支払手数料

SSL証明書を取得するために60,000円支払った場合、次のように仕訳します。

借方
勘定科目
借方
金額
貸方
勘定科目
貸方
金額
通信費60,000円普通預金60,000円

まとめ:ホームページ作成費用の勘定科目は正しく設定しよう

ホームページ作成費用の勘定科目は、1年以内に更新する場合は広告宣伝費、更新しない場合は繰延資産を使用します。ただし、プログラム(ソフトウェア)部分についてはソフトウェア(無形固定資産)として資産計上しなければなりません。

ソフトウェアの場合は耐用年数が5年で定額法による償却のみ認められているので、5年にわたって均等償却します。繰延資産は「効果の及ぶ期間」で均等償却します。

ホームページといっても、作成してもらう具体的な内容はさまざまです。どの勘定科目を使うべきか迷ったら、税理士や会計士などの専門家に相談することをおすすめします。