Webサイト制作においてコンセプトは成功に欠かせない要素です。サイトの方向性を明確にして目標達成を導き、ユーザー視点に立ったデザインやコンテンツを実現します。
しかし、初心者にとってサイトコンセプトは理解しにくい概念かもしれません。
本記事ではサイトコンセプトとは何か、なぜ必要なのかをわかりやすく解説します。具体的な設定方法や成功事例も紹介しているので、サイト制作を成功させたい方はぜひ最後までご覧ください。
サイトコンセプトとは?必要な理由
サイトコンセプトとは、Webサイトの目的や目指す方向性・ターゲットユーザー・提供する価値などを明確に定義したものです。
サイト制作において、コンセプトを設定することは重要です。コンセプトがあることでサイトのデザインやコンテンツ・機能などを一貫性のあるものにできます。
ここでは、サイトコンセプトが必要な理由を4つ説明します。
サイトの方向性を明確にするため
サイトの目的や目指すべき方向性が定まっていないと、制作途中で迷子になってしまうことがあります。
コンセプトがあればサイトの制作過程で判断に迷ったときにも、それを基準に意思決定ができるでしょう。また、サイトの成長や変化を考えるうえでも、コンセプトは指針となります。
サイトの方向性を明確にすることで、一貫性のあるユーザーにとって価値のあるサイトを作ることができるでしょう。
目標達成のゴールを明確にするため
サイトの目的が明確でないと、何のためにサイトを作るのかがわからなくなってしまうかもしれません。
コンセプトを設定することで、サイトを通じて達成したい目標を具体的に定義できます。例えば商品の販売を促進するためなのか、ブランドイメージを向上させるためなのかなど、目的を明確にできます。
目標達成のゴールが明確になればサイト制作のプロセスもスムーズになり、効果的なサイトを作れるでしょう。
デザインやトーンを統一するため
コンセプトなしでデザインを進めるとページごとにデザインが異なってしまい、サイトとしての一体感が損なわれてしまうことがあります。
コンセプトを設定することでサイト全体のデザインやトーン、雰囲気を統一することができるでしょう。統一感のあるデザインはユーザーにプロフェッショナルな印象を与え、サイトの信頼性を高めることにつながります。
また、ブランドイメージを確立するうえでもデザインの統一は欠かせません。
競合他社との差別化によりユーザー視点に寄り添う
競合サイトが多数存在する中で、自社サイトがユーザーに選ばれるためには明確な差別化が必要不可欠です。
コンセプトを設定することで競合サイトにはない独自の価値を提供し、ターゲットユーザーのニーズに応えることができます。ユーザー視点に立ったコンセプト設定は、ユーザーにとって使いやすく、価値のあるサイト作りにつながります。
サイト制作でのコンセプト設定方法
サイトコンセプトを設定する際にはさまざまな方法があります。
ここでは4つの効果的なコンセプト設定方法を紹介します。
- コンセプトは5W1Hで設定する
- SWOT分析を活用する
- 企画書や要件定義書に反映させる
- 公開後の長期的な方針を設定
これらの方法を組み合わせることで、明確で実現可能なサイトコンセプトを設定することができます。
コンセプトは5W1Hで設定する
5W1Hを使ってコンセプトを設定することで漠然としたアイデアを明確な言葉で表現でき、サイト制作のゴールが明確になります。
When | いつ利用されるサイトか? |
Where | どこで利用されるサイトか? |
Who | 誰に向けたサイトか? |
What | 何を提供するサイトか? |
Why | なぜこのサイトを作るのか? |
How | どのようにサイトを実現するか? |
サイトコンセプトを設定する際はこの表を参考に、それぞれの項目について具体的に考えてみてください。
SWOT分析を活用する
SWOT分析とは自社の強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会(Opportunities)、脅威(Threats)を分析する手法です。
サイトコンセプトを設定する際に活用することで、自社の強みや弱みを踏まえたコンセプトを導き出すことができます。
強み(Strengths) | サイトやプロジェクトが持つ独自の利点や資源 |
弱み(Weaknesses) | サイトやプロジェクトが抱える問題点や不足している部分 |
機会(Opportunities) | 市場や環境が提供する成長や改善の機会 |
脅威(Threats) | 外部からの競合や変化によるリスク |
企画書や要件定義書に反映させる
コンセプトを文書化することで、サイト制作のゴールや方向性を関係者全員で共有できます。
企画書にはサイトの目的やターゲットユーザー・提供する価値・競合サイトとの差別化ポイントなどを明記します。要件定義書にはサイトの機能や要件をコンセプトに沿って整理しましょう。
文書化することでサイト制作の過程で判断に迷ったときに、企画書や要件定義書を参照することでコンセプトに沿った意思決定ができるでしょう。
公開後の長期的な方針を設定
サイトを継続的に運営していく中で、当初のコンセプトから外れてしまうことがあります。長期的な方針を設定することで、サイトの一貫性を保ちながら、ユーザーのニーズに合わせてサイトを進化させられます。
例えば、コンテンツの更新頻度や拡充の方針、新機能の追加計画などをコンセプトに沿って定められるでしょう。また、サイトのパフォーマンスを測定する際の指標も、コンセプトに基づいて設定すると良いでしょう。
長期的な方針を設定することで、サイトの継続的な成長を実現することができます。
サイトコンセプトの具体例を紹介
サイトコンセプトはそのサイトが提供する価値や目的を明確にし、ユーザーに対してどのような体験を提供するかを定義します。
ここでは楽天市場やYahoo!知恵袋・ココナラの3つのサイトを例に、それぞれのコンセプトを5W1Hで分析してみましょう。具体的な事例を知ることで、自分自身のサイトコンセプトをより明確にイメージすることができます。
楽天市場
楽天市場のコンセプトは「インターネット上で豊富な品揃えと利便性を兼ね備えた総合ショッピングモールを提供する」です。
When | 24時間365日いつでもショッピングができる |
Where | インターネット上で利用可能 |
Who | インターネットショッピングを利用する一般消費者 |
What | 多様な商品を取り扱う総合オンラインショッピングモール |
Why | 豊富な品揃えと比較的安価な価格設定で、便利にショッピングを楽しめる |
How | 多数の出店者が商品を掲載し、楽天が一括して管理・運営する |
5W1H分析の結果、楽天市場は幅広いターゲットに向けて時間や場所の制約なく、豊富な商品を安心して購入できるオンラインショッピングモールであることが分かります。
Yahoo!知恵袋
Yahoo!知恵袋のコンセプトは「インターネット上でユーザー同士が知識を共有し、問題解決を助け合うプラットフォームを提供する」です。
When | 疑問や悩みが生じたときに利用する |
Where | インターネット上で利用可能 |
Who | 疑問や悩みを抱えているインターネットユーザー |
What | ユーザー同士が質問と回答を投稿し合う知識共有プラットフォーム |
Why | 自分の疑問や悩みを解決し、他のユーザーの問題解決に貢献できる |
How | ユーザーが自由に質問と回答を投稿し、Yahoo!が管理・運営する |
5W1H分析の結果、Yahoo!知恵袋はユーザー同士が自らの知識や経験を共有し、互いに学び合い困りごとを解決できる情報共有プラットフォームであることが分かります。
ココナラ
ココナラのコンセプトは「インターネット上で個人のスキルや知識を売買できるマーケットプレイスを提供する」です。
When | スキルや知識が必要なときに購入し、提供できるときに販売する |
Where | インターネット上で利用可能 |
Who | スキルや知識を売買したい個人ユーザー |
What | ユーザー同士がスキルや知識をやり取りするマーケットプレイス |
Why | 個人の持つスキルや知識を活用して収入を得られ、必要なスキルや知識を手軽に購入できる |
How | ユーザーが自由にサービスを出品・購入し、ココナラが管理・運営する |
5W1H分析の結果、ココナラは個人が持つスキルや知識を自由に売り買いできる、スキルや知識のマーケットプレイスであることが分かります。
コンセプト設定後はWebデザインの設計
Webデザインは訪問者にとって印象的で使いやすいサイトを作り出すために重要です。まずは、ターゲットユーザーのニーズや期待に応えられるデザインを考慮しましょう。
また、デザインの段階で企業のブランディング戦略を考慮し、適切なカラー・フォント・画像などの選択が大切です。これらが統一されていることで、訪問者に強く印象づけられます。
最後にSEO対策もデザインの段階で考慮しましょう。適切なキーワードの使用や構造化されたコンテンツが求められます。
上記のポイントを押さえたWebデザインの設計を行うことで、効果的なサイトに仕上がります。
Webサイトを自作する場合
Webサイトを自作する場合はデザインの設計からコーディングまで、すべての工程を自分で行います。
自作のメリットは、自分のアイデアを自由に実現できることです。ただし、デザインやコーディングの知識と経験が必要となるため、初心者にはハードルが高いかもしれません。
自作する場合、まずはデザインの基礎知識を学ぶことから始めましょう。Webデザインの書籍や動画などを活用して、デザインの基本的なルールや考え方を身につけることが大切です。
また、サイトコンセプトを常に意識しながらデザインを進めることで、一貫性のある魅力的なサイトを作れるでしょう。
関連記事:サイト制作におけるコーディングとは?役割や使用される言語を解説
フリーランスや個人へ依頼する場合
依頼者はデザインのアイデアやイメージを伝え、デザイナーはそれを元に作成します。フリーランスや個人への依頼は、比較的低コストで柔軟にデザインを進められるのがメリットです。
一方で、デザイナーとのコミュニケーションが重要になるため、サイトコンセプトを明確に伝えることが求められます。
依頼する際はサイトコンセプトを説明した上で、参考となるサイトデザインや、デザインに取り入れたい要素などを伝えると良いでしょう。また、デザインの進捗状況を定期的に確認し、フィードバックを与えることでコンセプトに沿ったデザインを実現することができます。
Webサイト制作会社へ依頼する場合
デザインの設計からコーディング、サイトの公開までを一貫して任せることができます。
制作会社では、豊富な経験と知識を持つプロのデザイナーやエンジニアが在籍しているため、高品質なWebデザインを期待できるでしょう。
また、サイトコンセプトに基づいたデザインの提案も行ってくれるため、初心者でも安心して依頼ができます。制作会社とのミーティングではコンセプトを詳しく説明し、デザインに対する要望やターゲットユーザーの特徴などを共有しましょう。
制作会社との密なコミュニケーションを通じて、コンセプトを反映した魅力的なWebデザインを実現することができます。
まとめ:コンセプト設定後はサイト制作会社への依頼がおすすめ
サイトコンセプトはWebサイトの羅針盤のような役割を果たし、一貫性のあるサイト作りを実現します。
コンセプトを設定することでサイトの方向性を明確にし、競合他社との差別化を図ることができます。
コンセプト設定はWebサイト制作において重要ですが、慣れない場合は難しいと感じるかもしれません。自信がない場合はサイト制作会社に依頼することを検討してみてください。
サイト制作会社では、コンセプトに基づいてデザインから開発まで全てを任せられます。コンセプトをと共有し、オリジナルのサイトを制作してもらいましょう。