動画制作の仕様書とは?記載項目や作成するときのコツを解説

自社のプロモーション用の動画や企業紹介動画を作成する際には、設計図となる仕様書が必要です。想像していたものと違ったと後悔しないためにも、仕様書は欠かせません。

しかし、初めて動画制作を依頼する場合は、仕様書に何を記載すればよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。

そこで本記事では、動画制作の仕様書に記載すべき項目と、作成するときのコツを詳しく解説します。

動画制作の仕様書とは

動画制作における仕様書とは、動画の内容や予算、制作スケジュールなどを詳細にまとめた文書のことです。

発注者側が制作する動画のイメージを持っていたとしても、具体的に伝えなければ、制作会社は発注者の意図通りの動画を作れません。

制作の意図を伝えて動画制作を成功させるためにも、詳細な仕様書を作ることが大切です。

動画制作の仕様書を作るメリット

動画制作の仕様書を作るメリットには、おもに次の3つがあります。

  • 委託業者とのやりとりが円滑に進む
  • 制作する動画のイメージが固まる
  • 制作期間の短縮につながる

それぞれ詳しく解説します。

委託業者とのやりとりが円滑に進む

仕様書があれば、動画の内容や納品日・納品形式・契約条件などを提示できるため、制作会社と認識を擦り合わせることができます。

仕様書を作らずに制作を進めると、追加費用の発生や掲載媒体に合わない形式で制作されてしまうなどのトラブルに発展する可能性があります。重要項目を仕様書に明記していることで、認識の食い違いによるトラブルを未然に防ぐことが可能です。

制作する動画のイメージが固まる

動画の仕様書は、達成したい目的や目標、映像のイメージを言語化したものです。「なんとなく認知を増やしたい」「新規顧客を獲得したい」といった漠然としたイメージのまま進めると、制作会社に適切な依頼はできません。

理想の動画に近づけるためには、仕様書で目的や制作意図を伝えることが大切です。また、達成したい目的や目標を定め、映像イメージを共有することも意識しましょう。制作会社との間に共通認識が生まれ、より満足度の高い動画制作につながります。

制作期間の短縮につながる

仕様書があると制作会社とコミュニケーションをとる回数が減るため、制作期間を短縮しやすくなります。仕様書で詳細な情報を伝えておけば、制作会社はクライアントの意図を把握できるため認識のズレがなくなり、無駄なやり取りを減らせます。

また、仕様書は修正の回数を減らしたいときにも効果的です。多くの場合、動画制作は初稿納品から最終稿納品まで、2〜3回の修正作業を伴います。

仕様書で完成品のイメージを伝えられれば、初稿の段階からイメージに近い動画が出来上がります。修正回数が少ないことで、制作期間の短縮も見込めるでしょう。

動画制作の仕様書に記載する項目

動画制作の仕様書に記載する項目には、主に以下の6つがあります。

  • 動画制作の要件
  • 事業概要
  • 提案内容
  • 法務要件
  • 予算
  • 掲載先

それぞれ詳しく解説します。

動画制作の要件

動画制作の要件には、プロジェクト名・動画制作の目的・KPI・制作の背景や課題などを明記します。

プロジェクト名

プロジェクト名は、「会社紹介」「採用動画」「サービス紹介」など、作成する動画の種類をプロジェクト名とするのが一般的です。

動画制作の目的

ユーザーの問い合わせ件数の増加など、動画制作の目的を記載します。目的によって、動画のテイストや方向性が変わることがあります。

KPI(重要目標達成指標)

動画制作の数値目標のことです。動画の視聴回数や視聴維持率、コンバージョン率、再生時間などを数値で定めましょう。制作会社は、KPIを基に戦略を検討します。

制作の背景や課題

なぜ動画を制作するのか、その背景や現状の課題を可能な限り詳しく書きましょう。制作会社が、動画の企画を作成しやすくするためです。

動画の公開希望日

動画の公開希望日は、制作会社がスケジュールを組むために必要です。併せて、公開希望日や納品日を設定した理由も伝えるとよいでしょう。

動画の長さ

動画の長さによって制作コストが異なります。30秒や60秒など、尺を概略で記載しておきましょう。一般的に、長い動画ほど撮影や編集の作業量が増え、コストも上がります。

また、動画の長さは配信する媒体によっても変わります。SNS向けの短い動画と大型スクリーンで流す動画では、視聴時間に差があります。

撮影場所

実写動画を制作する依頼する際は、撮影場所も指定しておくことをおすすめします。撮影スケジュールを組む際の参考になるためです。

ロケ撮影の場合は移動時間に加え、機材の設置や撤収にも時間がかかるため、スケジュールに余裕を持たせてておきましょう。また、複数の場所で撮影する場合も日程を分けておくと安心です。

納品形式

MP4やMOVなどファイルフォーマットの希望があれば記載します。また、解像度やフレームレート、オーディオ使用も明記しておきましょう。分からない場合は制作会社に相談すると、最適な形式を教えてもらえることがあります。

事業概要

事業概要では、おもに会社の基本情報として以下の内容を記載します。

  • 会社名
  • 所在地
  • 連絡先
  • 担当者名
  • 事業内容
  • 企業の提供する製品やサービス
  • ターゲット市場
  • 顧客層

事業概要に加えて、会社の強みや特色を記載するのも有効です。他社との差別化ポイントや独自の技術、特化している分野などを示すことで、動画で訴求すべき内容を把握しやすくなります。

提案内容

提案内容には、制作会社に提案してほしい項目として、企画案・制作スケジュール・見積もり金額などを記載します。

企画案

動画の企画案とは、全体の流れやストーリーをまとめたアウトラインのことを指します。企画案には、視聴者の行動を誘導する具体的な要素が含まれていることを確認する必要があります。

制作スケジュール

企画・撮影・編集など、各工程のスケジュールを詳細に示し、納品までの計画を提案してもらいます。

見積もり金額

動画制作の見積もりは、企画費・人件費・諸経費(機材やロケ地の費用など)の3つに分かれます。動画の目的や内容、必要な要素を明確に伝え、できるだけ詳細な見積もりの作成を依頼しましょう。

ざっくりした金額ではなく、各工程ごとにある程度細かく見積もりを作成してもらうことが重要です。

法務要件

法務要件は、動画制作における法的トラブルを防ぐために明記する項目です。動画制作で起きがちな法的トラブルには、以下があります。

  • 制作会社との契約における問題
  • 使用する素材の著作権侵害
  • プライバシーの権利に対する侵害
  • 表現の自由に関する問題や公序良俗に反する内容

法的要件を仕様書に明確に記載しておけば、安心して動画制作を進められます。制作会社との良好な関係維持にもつながるでしょう。

予算

仕様書には、100〜120万円など、できるだけ正確な予算を記載しましょう。

幅の広い予算を提示すると、いくら支払ってくれるか分からないと不信感を抱かれ、曖昧な提案になる恐れがあります。

また、修正などで追加料金が発生することもあるため、予算の上限を定めておくことも大切です。予算が決まっていない場合は「要相談」と記載し、相談の中でどれくらいの費用がかかるかを確認しましょう。

掲載先

動画制作の仕様書には、動画を掲載する媒体を明記することが重要です。自社サイト、YouTube、イベント会場など、掲載場所により動画の長さや解像度が異なるためです。

たとえば、テレビCMとYouTube動画では求められる画質が違うため、使用する撮影機材や制作費用も変わります。動画制作では、公開先の要件に合わせた仕様を設定することを心がけましょう。

動画制作の仕様書を作成するときのコツ

動画制作の仕様書を作成するときのコツは、おもに以下の4つがあります。

  • イラストや図を使う
  • 詳細まで記載する
  • 複数の会社から提案をもらう
  • 曖昧な部分は制作会社に質問する

それぞれ詳しく解説します。

イラストや図を使う

動画制作の仕様書にイラストや図を活用すると、複雑な情報を視覚的に分かりやすく伝えられます。たとえば、シーンのレイアウトやカメラアングル、キャラクターの配置などを図で示すと両者間の認識がズレにくくなり、求めている動画に出来上がるでしょう。

動画の流れや構成をフローチャートで示したり、色彩やデザインのイメージをビジュアルで伝えるのも効果的です。

また、イラストや図を用いると、関係者全員が同じビジュアルを見ながら意見を交換できるため、打ち合わせがスムーズに進みます。複数の関係者が関わる大規模なプロジェクトでは、視覚的な資料があると全員の理解を統一しやすくなるでしょう。

詳細まで記載する

詳細な仕様書を作成しておくと、制作会社はクライアントの意図を把握しやすくなるため、期待に沿った動画が制作できます。

動画の目的やターゲット層、メッセージを記載しておくことも大切です。「新製品の認知度を高めるためのプロモーション動画」「20〜30代の若年層をターゲットにした楽しい雰囲気の動画」など、目的とターゲットを伝えましょう。

場面ごとの詳細な説明やシナリオのイメージがある場合も、詳しく記載しましょう。シーンの内容・台詞・映像のイメージ・使用する音楽や効果音なども細かく明記します。

複数の会社から提案をもらう

作成した仕様書を複数の制作会社に提出し、各会社から提案をもらうことで、アイデアや企画力、技術力、予算内での対応力などを比較検討できます。自社にあったパートナーを選べるでしょう。

複数の提案を受けることで、制作会社ごとの強みや弱みを把握しやすくなるのもメリットです。また、異なる視点からのフィードバックを得ることで、自社の要件に対する新たな気づきや改善点を見つけられるでしょう。

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曖昧な部分は制作会社に質問する

仕様書を作成する段階で不明確な点や疑問がある場合、制作過程でのトラブルや誤解を未然に防ぐためにも、制作会社に質問して解消しておきましょう。

たとえば、3DCGやアニメーションなど、技術や表現方法について分からないことがある場合は、制作会社に質問すれば解決策が得られます。また、納期や予算に関する情報も、制作会社との事前の確認でクリアにしておくと安心です。

やりとりを続けることで、制作会社とのコミュニケーションが円滑になり、信頼関係を築くことにもつながります。プロジェクト全体の進行がスムーズになり、納期や品質に関するリスクも軽減できるでしょう。

まとめ:動画制作の仕様書を作成して制作会社に提案しましょう

動画制作を円滑に進めるためにも、仕様書の作成は欠かせません。仕様書があれば具体的な要求を伝えられるため、制作会社との認識がズレにくくなり、提案も的を得たものになります。トラブルを未然に防ぐとともに、満足度の高い動画が完成するでしょう。

また、仕様書に法務要件や提案内容、制作の背景と課題を明確に記載することで、動画制作がよりスムーズに進みます。仕様書を作成するときには制作会社への質問を怠らず、曖昧な部分をクリアにすることも重要です。

動画制作の仕様書を活用して、複数の制作会社から提案をもらうことも有効です。一括見積もりサイトを利用すれば、複数の会社から見積もりや提案を一度に受け取れます。最適な動画制作会社を見つけるためにも、一括見積もりサイトを利用してみませんか。

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