多くの企業が、個人宅向けのテレアポを導入しています。しかし、思うように結果が出ず、解決策を探している方もいるでしょう。個人宅向けのテレアポは少しのコツでアポ獲得率の向上が可能です。
この記事では、テレアポの事前準備から実践、架電後にやるべきことまで場面ごとに解説します。テレアポで結果が出ていない方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
個人宅へのテレアポがうまくいかない要因
個人宅へのテレアポがうまくいっていない方の特徴は以下のとおりです。
- 架電数が足りていない
- 商品に自信がない
- 顧客と会話ができていない
テレアポの成功率が低い場合、技術的な内容だけでなく、行動量や自信など精神的な課題があります。それぞれ自覚し見直すことが大切です。
架電数が足りていない
テレアポの成功には行動量の担保が不可欠です。アポ獲得率はベテランで10%程度、初心者は1%程度といわれています。ベテランでも結果を出すためには行動量が必要です。
初心者の場合、100件架電して1件獲得できれば十分な数字です。しかし、テレアポがうまくいかない方は、断られる99件を恐れて架電数が少ない傾向にあります。
テレアポは行動量の確保ができれば成功する確率の高い手法です。うまくいかない場合、行動量から見直すとよいでしょう。
商品に自信がない
オペレーターが商品に自信がないと、顧客はその商品へ興味を持ちません。そのため、よい商品だという自信を持つことが重要です。しかし、テレアポを断られる経験から商品への自信を失う方もいます。
どのような商品でも、万人に役立つものはありません。アポを断られたとしても、商品がその顧客に合わなかっただけです。商品を必要としている方は必ずいると、自信を持つことが求められます。
顧客と会話ができていない
テレアポは顧客とコミュニケーションをとりながら、悩みを引き出し、提案する作業です。一方、テレアポがうまくいかない方は、商品のお知らせを喋り続け、顧客が話す間を与えません。
電話で一方的に話をされて、気分がよい方はいないでしょう。顧客の悩みを理解することが、効果的な提案に必要です。テレアポでは、聞くことを意識するほうがうまくいく傾向にあります。
関連記事:テレアポのスランプ脱却のコツ12選!アポが取れない理由も解説
【事前準備】個人宅のアポ獲得率を上げるコツ
テレアポの成功率向上に必要な事前準備は以下のとおりです。
- 断られて当たり前のマインドを持つ
- トークスクリプトを作り込む
- 商品知識を付ける
- ロープレする
アポ獲得率はオペレーターの営業力では決まりません。テレアポはトークスクリプトが基本なので、インプットや練習が大切です。それぞれ解説します。
断られて当たり前のマインドを持つ
アポ獲得率は1〜10%のため、ベテランでも断られる数のほうが多くなります。そのため、断られることを恐れる必要はありません。断られたとしても、気にせず次の架電に進める心構えが大切です。
とはいえ、断られることで落ち込む方も多いでしょう。そのような方は、「テレアポ=顧客のニーズを確認する作業」と捉えるのがおすすめです。この意識をすれば、断られる=ニーズがないことの確認を達成していると、ポジティブに考えられます。
精神的な問題も思考の工夫で解決できるため、マインドセットを戦略的に行うことが重要です。
トークスクリプトを作り込む
テレアポはフリートークではなく、トークスクリプトに沿って会話を進めます。質の高いトークスクリプトは、アポ獲得率向上に不可欠です。以下の観点で質を高めましょう。
- アポ獲得までのルートをさまざまなパターンで作成する
- FAQを充実させる
- 断られた際のカウンタートークを用意する
顧客の発言や質問はさまざまですが、ある程度パターン化できます。全パターンの作成は工数が大きくなるものの、事前準備がアポ獲得率を左右するため、可能な限り完成度を高めておくことが大切です。
商品知識を付ける
商品知識はスペックを覚えるだけではありません。誰の・どのような悩みを・どのように解決できるのかまで調べます。
たとえばカメラの営業の場合は以下のとおりです。
NG例 | OK例 |
8.0段の手ブレ補正機能があります。 | 手ブレ補正機能が強く、動きの多いお子様の写真を簡単に撮影できます。 |
NG例ではカメラに詳しい方以外は商品に魅力を感じられません。商品知識のインプットでは、顧客のメリットまで落とし込む作業が求められます。
ロープレする
ロープレはトークスクリプトを適切に活用するために必要です。トークスクリプトがうまく活用できていないと、テレアポが「会話」ではなく、一方的な「お知らせ」になります。
以下を中心にロープレを行うことで、スムーズな会話が可能になるでしょう。
- 会話に合わせた適切な分岐を選択する
- 話す順番を入れ替えても会話が成立するようにする
臨機応変な対応が自然な会話につながります。
なお、アドリブが必要な場合、トークスクリプトに問題のある可能性が高いため修正が必要です。
トークスクリプトの範囲内で会話が成立することを目指しましょう。
【実践】個人宅のアポ獲得率を上げるコツ
テレアポの実践で使えるコツは以下のとおりです。
- 架電時間を工夫する
- 感情論を重視する
- 質より量を追求する
- 話すトーンを意識する
- 質問には簡潔に回答する
- 見込み顧客か迅速に判断する
- 顧客が話すタイミングを作る
簡単に実践できるものから、少し難易度の高いものまであります。できることから取り入れていきましょう。
架電時間を工夫する
架電する状況やタイミングによって顧客の対応が大きく変わります。忙しく、余裕のない時間帯では話を聞かず断る方でも、余裕があれば話をする機会はもらえるでしょう。
以下のような、顧客に合わせた時間帯に架電することが大切です。
ターゲット | 架電時間 |
主婦 | 10:00〜15:00 子どもが学校の時間 |
サラリーマン | 〜9:30または18:00〜 一般的な定時前後 |
感情論を重視する
個人宅へのテレアポでは、購買の意思決定に関わる人数が少ない傾向があります。相談する場合も、家族やパートナーなどの限られた範囲になるでしょう。そのため、購入に関して論理的な思考を求められることが少なく、好き嫌いなど感情の部分で意思決定することがあります。
顧客を論理的に納得させるよりも以下の対応が重要です。
- 明るい、元気などオペレーターの印象を上げる
- 憧れや夢など、商品を手にした理想をイメージさせる
理性ではなく本能で欲しいと思わせるトークを意識しましょう。
質より量を追求する
テレアポは「架電数×アポ獲得率」で成果が決まります。アポ獲得率は個人の技量ではなく、トークスクリプトの質が影響します。オペレーターの努力ですぐに改善することは難しいでしょう。
一方、架電数は本人の意志で改善可能です。架電数が増えれば、アポ獲得率が低くても成果は生まれます。
成功体験と失敗体験をトークスクリプトの改善に役立てることで、アポ獲得率にも影響を与えます。よって質より量を求めることが大切です。
話すトーンを意識する
人は第一印象を以下の情報で判断するといわれています。
- 視覚情報(見た目):55%
- 聴覚情報(声のトーン):38%
- 話の内容:7%
電話では視覚情報が利用できないため、声のトーンが重要です。テレアポでは声の高さ、大きさ、話すスピード、会話のテンポなどを総合的にみて第一印象が決まります。
トークスクリプトを読むことに集中してしまう方が多いので、話の内容よりも声のトーンに集中したほうがよい結果につながる可能性が高いでしょう。
質問には簡潔に回答する
顧客からの質問には、マイナスな回答だとしても簡潔に回答することで、信頼獲得につながります。
マイナスの回答をする際、悪い印象になることを恐れて弁明から入る方も多いですが逆効果です。歯切れの悪い回答は、第一印象を下げる要因になります。
顧客の質問には簡潔に回答し、リカバリー案を伝えるという流れを意識しましょう。
見込み顧客か迅速に判断する
架電した顧客全員からアポ獲得を目指す必要はありません。見込み顧客か迅速に判断し、対象外の場合すぐに引く判断も求められます。
- すべての顧客に時間を使うと架電数を稼げない
- 見込み顧客以外とのアポは購入につながらず時間の浪費になる
見込み顧客以外に時間を使うとオペレーターと営業どちらの時間も無駄になる可能性があります。そのため、可能性のある顧客に時間を使う意識が大切です。
顧客が話すタイミングを作る
顧客に話してもらうことで以下のメリットが得られます。
- 顧客の悩みやニーズなど、重要な情報を得られる
- 顧客に主体性が生まれ、アポ獲得率が向上する
しかし、トークスクリプトを活用していると、一方的に話してしまうことが多いと思います。そのため、顧客と会話するためにはトークスクリプトの中に、顧客への質問や話してもらうタイミングを設けることが大切です。
また、電話だと沈黙を恐れる方が多いので、顧客が考えるために必要な間として待つ勇気を持ちましょう。
【架電後】個人宅のアポ獲得率を上げるコツ
テレアポが終わった後の行動によって、長期的なアポ獲得率に大きな差が生まれます。以下の改善活動を実施しましょう。
- トークスクリプトを改善する
- フィードバックを受ける
それぞれ解説します。
トークスクリプトを改善する
トークスクリプトは作成して完成ではなく、常に改善を続けることが大切です。事前準備の時点では、作り込んだとしても漏れが生じます。
完成度を高めるためには、以下の視点で修正が必要です。
- 予想していない質問や会話の流れがなかったか
- 断られたときのカウンタートークは適切だったか
この改善を繰り返すことで、アポ獲得率の改善につながります。なおトークスクリプトの修正後は、改めて練習したうえで架電しましょう。
フィードバックを受ける
テレアポの録音などを利用して、他者からフィードバックを受けることで多くの気づきを得られます。その際はアポ獲得率の高い方、あるいは上司から受けることで、より高い視点の意見を得られるでしょう。
また、録音ができず、他者に聞いてもらう環境がない場合、セルフフィードバックも有効です。声のトーンや会話の流れなど、反省点を出すことで改善につなげられます。
個人宅へのテレアポで役立つ心理学
多くの心理学が営業で活用されています。その中でもテレアポで役立つ心理学は以下のとおりです。
- ペーシング
- ブーメラン効果
- オープンクエスチョン、クローズドクエスチョン
- 社会的証明の心理
- 両面提示の法則
心理学を使っていることがばれると、効果が出ないだけでなく信頼を失う可能性があります。自然に使えるまで練習したうえで活用しましょう。
ペーシング
ペーシングとは、顧客に声のトーンやテンションを合わせて会話することです。人は自分と似た方に好印象を持ち、信頼する傾向があります。テレアポでは聴覚情報が重要な役割を持つため、対面営業よりも効果的に利用できるでしょう。
たとえば、相手のテンションが高ければそれに合わせて高くするなどです。
ブーメラン効果
ブーメラン効果とは、顧客を説得しようとすればするほど、それに対して反発する気持ちが強くなることを指します。
テレアポは商品の販売ではなく、アポ獲得が目的と意識することでブーメラン効果を回避できます。アポ獲得のためには、商品のよさを伝え顧客へのメリットの提示を行います。有益な情報提供のみに集中することで、営業感が薄れアポ獲得に近づくでしょう。
オープンクエスチョン、クローズドクエスチョン
YesかNoで答えられない質問がオープンクエスチョン、答えられる質問がクローズドクエスチョンです。それぞれの質問方法を使い分けることで、回答が得られやすくなります。
- 信頼が得られるまではクローズドクエスチョン
- 信頼を得たらオープンクエスチョン
この流れで会話を展開していくのがおすすめです。
オープンクエスチョンは多くの情報を引き出せますが、顧客に心理的な壁がある状態ではうまく会話ができません。最初は簡単に回答できるクローズドクエスチョンから始めて、徐々に回答への心的ハードルを下げる必要があります。
社会的証明の心理
多くの人に評価されているものはよいものだと判断する傾向のことです。または、有名な方が利用している、なども影響を与えます。
たとえば、〇〇万人の方が利用している、有名モデルの〇〇が愛用している、などを伝えることで顧客の関心を得られるでしょう。
両面提示の法則
両面提示の法則とは、メリットとデメリットをどちらも伝えることです。よい面だけでなく悪い面も正直に伝えることで、顧客の信頼を得られます。
事前にデメリットを伝えておくことで、顧客の期待値コントロールが可能です。商談の際に営業が提案しやすくなるように、適切なインプットをしておきましょう。
まとめ:正しいやり方を理解して個人宅へのテレアポ成功率を高めよう
個人宅へのテレアポは場面ごとにさまざまなコツがあります。成功率を高めるためには、テレアポ中だけでなく、前後の作業も意識して取り組むことが大切です。
また、心理学のテクニックをトークに組み込むことで、顧客と良好な関係性を築けるはずです。
各項目は1つずつの導入でも効果を得られるため、できることから取り入れましょう。