法人携帯の乗り換え(MNP)を検討中の企業担当者の方は、通信費の削減や新しいサービスの利用を考えているでしょう。MNPを活用すれば、現在の電話番号を維持したまま、よりお得な条件の通信事業者に切り替えることができます。
しかし、MNPにはさまざまな手続きや注意点があり、適切な準備なしに進めると思わぬトラブルが発生することも。
本記事では法人携帯のMNPの概要や具体的な手続き方法などを詳しく解説します。
事前に準備をすることで、スムーズに乗り換えでき、コスト削減にもつながります。
法人携帯の乗り換え(MNP)とは?
MNPは「Mobile Number Portability」の略称で、携帯電話番号の持ち運びを意味します。
法人携帯の乗り換え(MNP)は、使用している電話番号を保持したまま、別の通信事業者のサービスに移行できる仕組みです。連絡先を変更することなく、より適した条件や新しいサービスを利用できます。
法人契約においてもこの制度を活用することで、通信環境の最適化やコスト削減が可能です。
関連記事:法人携帯でMNP(乗り換え)はできる?手続きの流れや注意点を徹底解説
MNPにかかる費用
MNPを利用する際には、以下のような費用が発生します。
MNP転出手数料 | 2021年4月1日以降、主要キャリアでは無料化 |
新規契約事務手数料 | 乗り換え先で発生し、通常3,300円(税込)/回線 |
端末代金 | 新しい端末を購入する場合に必要 |
解約違約金 | 現契約に期間拘束がある場合に発生する可能性 |
機器代金の残債 | 現在の端末の分割払いが残っている場合、清算が必要 |
法人契約の場合、個人契約とは異なる条件や手続きが必要になることがあります。また、一部のMVNOでは独自の手数料体系を設けている場合もあるため、事前の確認が重要です。
法人携帯のMNPのメリット
法人携帯のMNPには、以下のようなメリットがあります。
- 電話番号をそのまま使える
- 手続きが簡単
- コストを削減できる
- キャンペーンによる特典を受けられる
それぞれ詳しく解説します。
電話番号をそのまま使える
MNPの最大のメリットは、既存の電話番号を変更せずに別のキャリアに乗り換えられることです。取引先や顧客に新しい番号を通知する手間が省け、名刺やパンフレットなどの印刷物を変更する必要もありません。
普段の営業活動や業務をそのまま続けられるので、会社の活動に大きなプラスになります。
手続きが簡単
MNPの手続きはスムーズに進行します。MNP予約番号の取得から新しいキャリアでの契約まで、オンラインや電話での手続きが可能なケースも多く、キャリアショップでの手続きも通常1時間程度で完了します。
通常の機種変更よりも手軽なため、業務への影響を最小限に抑えつつ乗り換えが可能です。
コストを削減できる
MNPにより、新しいキャリアの安価な料金プランを選択でき、複数回線をまとめて契約することでさらなる割引を受けられる場合もあります。
通信費の見直しによる経費削減は、企業の収益性向上に貢献する大きなメリットです。
キャンペーンによる特典を受けられる
MNP利用時には、さまざまなキャンペーンを受けられる場合があります。新規契約者向けの特別キャンペーンを利用でき、端末の割引や月々の通信料金の割引などの特典が受けられる場合が多いです。
複数回線での契約や長期契約によるさらなる優遇措置を受けられることもあり、特典を活用することでさらなる経費削減や業務効率化が図れます。
法人携帯のMNP手続き方法
法人携帯のMNP手続き方法は以下のとおりです。
- プランを選ぶ
- MNP予約番号を発行する
- 乗り換え先への転入手続きを行う
- 開通手続きを行う
各段階で注意点があり、慎重に進める必要があります。契約内容や解約金などを事前に確認し、準備をしておくことが大切です。以下、手続きの流れを詳しく説明します。
プランを選ぶ
各キャリアの法人向けプランを比較検討し、自社のニーズに最適なものを選びましょう。データ通信量、通話時間、端末代金などを考慮し、総合的に判断する必要があります。
複数回線契約の場合は、まとめ割引などの優遇措置も確認するとよいでしょう。慎重に選択することで、長期的なコスト削減につながります。
MNP予約番号を発行する
現約中のキャリアからMNP予約番号を取得します。発行方法は電話、オンライン、キャリアショップでの申請の3つがあります。
法人契約の場合、オンラインでの申請が制限されることもあるので、事前に確認しなければいけません。MNP予約番号の有効期限は15日間なので、期間内に乗り換え先への転入手続きが必要です。
乗り換え先への転入手続きを行う
MNP予約番号を取得したら、乗り換え先のキャリアで転入手続きを行います。法人の印鑑、法人確認書類(登記簿謄本や印鑑証明書など)、担当者の本人確認書類、在籍確認書類(社員証や名刺など)が必要です。
書類を用意し、MNP予約番号と一緒に提示します。新しい契約内容を確認し、必要書類に記入・捺印します。
開通手続きを行う
新しいSIMカードを受け取り、開通手続きを行います。指定された日時に、古い端末の電源を切り、新しいSIMカードを挿入します。
その後、新しい端末の電源を入れ、画面の指示に従って初期設定を行いましょう。通信が開始されたことを確認して、手続きは完了です。
データのバックアップや移行も忘れずに行いましょう。開通手続きはキャリアによって方法が異なる場合があるので、指示に従って慎重に進めることが重要です。
法人携帯の乗り換えに必要なもの
法人携帯の乗り換え(MNP)を行う際に必要なものは以下のとおりです。
- MNP予約番号
- 使用中の携帯端末・SIMカード
- 担当者の本人確認書類
- 法人契約の確認書類
- 担当者の在籍確認書類
- 支払い手続きに必要なもの
キャリアによって必要書類が異なる場合があるため、事前に新しいキャリアの窓口や公式サイトで確認してください。
書類の不備で乗り換えができなかったという事態に陥らないためにも、事前に準備しておきましょう。
MNP予約番号
MNP予約番号は、現在契約中の携帯電話会社から取得する必要があります。MNP予約番号の有効期限は通常15日間です。取得方法は電話、オンライン、店頭など各社によって異なるため、事前に確認しておくことが重要です。
使用中の携帯端末・SIMカード
使用中の端末とSIMカードを持参する必要があります。データ移行を店頭で行う場合は必須です。事前にデータのバックアップを取っておくのがおすすめです。万が一の場合に備えて、大切なデータを失わないようにしましょう。
担当者の本人確認書類
法人携帯の手続きを行う担当者の本人確認書類が必要です。運転免許証、パスポート、マイナンバーカード、外国人の場合は在留カードなどが該当します。有効期限内のものを用意しましょう。
法人契約の確認書類
会社の実在を証明する書類も必要です。登記簿謄本や印鑑証明書(いずれも発行から3ヶ月以内のもの)、または納税証明書などの公的書類が該当します。
担当者の在籍確認書類
手続きを行う担当者が、確かにその会社の従業員であることを証明する必要があります。社員証、名刺、代表者からの委任状などが該当します。法人契約をする際に不正な契約を防ぐために提示が必要です。
支払い手続きに必要なもの
料金の支払い方法を設定するために、法人名義の銀行口座情報が必要です。クレジットカード払いを選択する場合は、法人名義のクレジットカードが必要になります。また、契約事務手数料(通常3,850円程度)の支払いも必要です。
法人携帯を乗り換える時の注意点
法人携帯の乗り換えを行う際は、以下の点に注意が必要です。
- 契約事務手数料がかかる
- ポイントや特典は失効する
- 端末によっては乗り換えできない場合がある
- キャリアのメールアドレスは使えなくなる
- 名義変更できない場合がある
これらの注意点を踏まえて、法人携帯の乗り換えを検討することが重要です。特に、業務に影響を与える可能性のある点(メールアドレスの変更など)は、十分な準備期間が必要です。
契約事務手数料がかかる
乗り換えの際には、新規契約事務手数料として通常3,850円(税込)がかかります。オンラインショップでの手続きの場合は無料になることもあるため確認してみましょう。
複数回線を同時に契約する場合は、回線ごとに手数料が発生するため、総額が大きくなることもあります。事前に予算を確認し、必要な費用を準備しておくことが重要です。
ポイントや特典は失効する
乗り換え前のキャリアで貯めたポイントは、通常乗り換え後に使用できなくなります。キャリア独自の特典プログラム(例:docomoの「dポイント」)も失効します。
乗り換え前に貯まったポイントや特典を使い切るか、可能な場合は他のサービスに交換しておくのがおすすめです。
端末によっては乗り換えできない場合がある
SIMロックがかかっている端末は、他社のSIMカードで使用できない場合があります。また、一部の古い端末や特殊な端末は、新しいキャリアの周波数帯に対応していない可能性があります。
乗り換え先のキャリアで使用可能な端末かどうか、事前に確認することが重要です。必要に応じて、新しい端末の購入も検討しましょう。
キャリアのメールアドレスは使えなくなる
乗り換え後は、元のキャリアが提供していたメールアドレス(例:@docomo.ne.jpなど)が使用できなくなります。重要な連絡先には事前に新しいメールアドレスを通知しておきましょう。
業務への影響を最小限に抑えるため、Gmailなどのフリーメールサービスに移行することで、キャリア変更の影響を受けにくくすることも可能です。
名義変更できない場合がある
法人から個人、または個人から法人への名義変更は、キャリアによっては認められない場合があります。同一法人内での名義変更(例:部署変更)は通常可能ですが、手続きが必要です。
名義変更の可否や手続き方法は、各キャリアの規定によって異なるため、事前に確認が必要です。
まとめ:法人携帯をMNPで手軽に乗り換えよう!
法人携帯の乗り換え(MNP)は、企業が電話番号を変えずに通信事業者を変更できるサービスです。
MNP手続きは、プランを選択してMNP予約番号を取得し、転入手続きと開通手続きの順で行います。
必要なものはMNP予約番号や使用中の端末・SIMカード、本人確認書類・法人確認書類・在籍確認書類、支払い情報などです。
MNPは企業の通信環境最適化とコスト削減に有効ですが、業務への影響を考慮し、十分な準備と計画が必要です。