コールセンターの運営にかかる費用を削減するには、外部委託が効果的です。
しかし、コストや費用対効果の面から、委託すべきか判断に迷う企業は多いでしょう。
そこで本記事では、コールセンター運営にかかる費用相場をご紹介します。
自社運用と外部委託の費用比較や、外部委託する場合の費用もまとめているので、ぜひ参考にしてください。。
外部委託できる業務内容
コールセンターの運営にあたって、外部に委託できる業務内容は「インバウンド業務」と「アウトバウンド業務」に分けられます。
それぞれの詳細は以下のとおりです。
インバウンド業務
外部に委託できるインバウンド業務範囲は主に下記のとおりです。
- 商品・サービスに関する問い合わせ対応
- インターネット通販商品の注文受付
- メール対応・チャット対応
- 入力など事務作業
受電業務がメインのインバウンドは、問い合わせ対応や注文受付、入力作業が委託できる主な範囲です。
また、質問に答えるだけなのか、アップセル・クロスセルや定期購入の誘導まで対応してくれるのかなど、対応範囲は代行会社によって異なります。
「365日24時間運用可能」「繁忙期のみ・スポット対応可」「ivr(音声自動応答システム)に対応」など、サービス範囲と料金プランを見ると自社が求める代行会社が見つかります。
アウトバウンド業務
外部に委託できるアウトバウンド業務の範囲は、下記の内容が主流です。
- 既存顧客に対して商品・サービスの提案を行う
- アップセル・クロスセルの提案
- 定期購入への提案
- 休眠顧客の掘り起こし
- サンキューコール・フォローコール
- アンケート調査
- テレアポ業務
コールセンターのアウトバウンドでは、既存顧客に対して販売促進活動を行うテレマーケティング要素が強くなります。
テレアポ業務に対応している代行会社もありますが、委託する範囲が増えれば料金も高くなるため、外部委託する目的を明確にしておきましょう。
コールセンターの費用相場を比較
コールセンター運営の費用相場を、「自社運営」と「外部委託」の2つのパターンで比較します。
それぞれの運用方法にかかる費用と、メリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。。
自社運用
コールセンターを自社運用する場合の費用相場は以下のとおりです。
内容 | 費用相場 | |
---|---|---|
初期費用 | システム導入・構築費 機材購入費 電話・インターネット回線の工事費用 人材の調達費用 | 50万〜300万円 |
運用費用 | システム運用費 人件費 施設・設備の維持費 ライセンス料 | 月4万円 時給1,200~2,000円 月3万~70万円 月4万円 |
運用規模によって費用相場は変動しますが、初期費用が50万〜300万円、月々にかかる運用費用が30万〜100万円程度の見込みです。
自社で一からコールセンター事業を立ち上げようと思うと、システム構築費や設備投資、人件費などがかかります。
もちろん、自社で運用することで知識やノウハウが蓄積されるといったメリットがあります。しかし、それ以上に手間とコストがかかるデメリットが大きいと理解しておきましょう。
外部委託(外注)
コールセンター業務を外部委託する場合の費用相場は、以下のとおりです。
初期費用 | 1万~5万円 |
運用費用 | 月額固定型:月10万~30万円 従量課金型:1コールあたり300円~1,000円 |
外部委託ではコールセンター業務を行う環境と設備がもともと整っているため、初期費用が安く、運用までが早いといったメリットがあります。
また、オペレーターの研修やマニュアル作成、トークスクリプトの用意なども初期費用に含まれているので、自社の負担を軽減することが可能です。
一方で、代行会社によってオペレーターの質に差があったり、思った成果を得られない可能性があったりなど、デメリットがあるのも事実です。
とはいえ、「初期費用が安い」「効率的に運用できる」などのメリットを加味すると、外部委託の方が費用削減と費用対効果の高い運用が期待できるといえるでしょう。
コールセンターを外部委託した場合にかかる費用
コールセンター業務を外部委託した場合に着目し、費用について詳しく解説します。
「料金形態」「費用内訳」「料金表」を参考に、外部委託の運用イメージを深めていきましょう。
料金形態
コールセンター業務を外部委託する場合、主に以下の2つの料金形態が用意されています。
- 月額固定型
- 従量課金型
月額固定型は、月に対応するコール件数をあらかじめ設定して契約する料金プランです。
まとまった件数で契約するため、1コールあたりの単価が安くなる特徴があります。
一方で、従量課金型は、受電件数に応じて費用がかかる料金形態です。
コール単価の相場は、1コールあたり300〜1,000円程度ですが、業務内容の範囲や難易度、時間帯によって料金は変動します。
それぞれの費用相場とメリット・デメリット、向いている企業は以下のとおりです。
月額固定型 | 従量課金型 | |
費用相場 | 月10万~30万円 | 1コールあたり300円~1,000円 |
メリット | 決まった予算の範囲で委託しやすい 料金が明確でわかりやすい 1件当たりのコール単価が安い | 受電がなければ費用は発生しない 月額基本料金は月額固定型より安い 費用を抑えて効率的に委託できる |
デメリット | コールオーバー費用がかかる 稼働状況を正確に把握している必要がある 月額基本料金は従量課金型より高め | 予想以上の受電があると予算オーバーの可能性も 専門性の高さや時間帯によって単価は高くなる |
向いている企業 | 受電件数をある程度把握、確保している企業 問い合わせ対応や注文受付などインバウンドがメイン 繁忙期や夜間などスポットで委託したい企業 | コール件数が少ない、予測が難しい企業 アウトバウンド業務を委託したい企業 |
費用内訳
コールセンター業務を外部委託した際の、費用内約は以下のとおりです。
内容 | 費用相場 | |
初期費用 | オペレーターの研修費用資料作成など | 1万~5万円 |
月額基本料金 | 人件費対応時間帯と曜日委託業務の規模や難易度 | 1万~5万円 |
料金プラン(月額固定型or従量課金型) | 月額固定型:毎月一定の費用が発生 従量課金型:コール件数に応じて費用が加算される | 月10万~30万円 1コールあたり300円~1,000円 |
外部委託すると「月額固定型」「従量課金型」の料金プランとは別に、初期費用と月額基本料金がかかります。
月額基本料金は、従量課金型の方が安く設定されているケースが多く、規模の小さな案件であれば1万〜2万円程度ですむ場合がほとんどです。
また、曜日や時間帯、人員の配置、業務の難易度によって月額基本料金は変動します。
料金表
以下の料金表は、コールセンターを外部委託した際の費用相場です。
代行会社に多い料金プランをまとめていますので、外部委託を検討する際の参考にしてください。
料金プラン | 費用相場 |
---|---|
平日のみ(月間50コールプラン) | 25,000円~38,000円 |
平日のみ(月間100コールプラン) | 35,000円~50,000円 |
平日のみ(月間300コールプラン) | 95,000円~120,000円 |
平日+土日祝 (月間50コールプラン) | 32,000円~45,000円 |
平日+土日祝 (月間100コールプラン) | 45,000円~60,000円 |
平日+土日祝 (月間300コールプラン) | 100,000円~125,000円 |
なお、既定のコール数を超えた場合のコールオーバー(超過料金)は、1コールあたり100円〜300円が相場です。
また、上記の料金表は、問い合わせ対応などのインバウンド業務の費用相場となっています。
委託する業務内容によって料金は変動するため、気になる際はまず見積もりを出してもらいましょう。
関連記事:コールセンター代行会社の相場は?料金表や費用内訳を詳しく解説
コールセンターの費用削減を狙う!代行会社の失敗しない選び方
コールセンター業務を外部委託する場合の、失敗しない代行会社の選び方を解説します。
- 対応できる業務内容の範囲をチェック
- オペレーターの対応品質にこだわる
- 予算の範囲内で柔軟に提案してくれるか
- 自社の業界の導入実績があるかで選ぶ
自社のサービスにマッチする代行会社を選ぶことで、費用削減と費用対効果の最大化も目指せるでしょう。
対応できる業務内容の範囲をチェック
代行会社によってインバウンドのみ、アウトバウンドのみなど、対応できる業務範囲が異なります。
そのため、委託したい業務範囲に対応している代行会社から選びましょう。
また、同じインバウンドでも「基本的な問い合わせ対応まで」「商品知識や専門的な知識が必要とする対応」「テクニカルサポート対応」など、どこまで対応できるかは代行会社によって様々です。
既存顧客に対してセールスや休眠掘り起しなど、アプローチをしたい場合は、アウトバウンドにも対応している企業を選ぶと良いでしょう。
オペレーターの対応品質にこだわる
受電対応が多いコールセンターでは、直接お客様と話す機会が多く、オペレータの対応が会社の売上や顧客満足度に影響します。
売上アップ、顧客満足度の向上、企業イメージの向上を狙うのであれば、オペレーターの質にはこだわるべきです。
代行会社を選ぶ際は、オペレーターの対応品質向上への取り組みに積極的な企業を選ぶと良いでしょう。
予算の範囲内で柔軟に提案してくれるか
代行会社の多くは、ざっくりとした費用感だけ公開し、見積もりの際に詳しく料金を提案します。
こちらの希望を踏まえたうえで、柔軟に料金やプランを提案してくれる代行会社を選ぶと、予算を抑えて委託しやすくなるでしょう。
とはいえ、ある程度の費用感は把握していないと、見積もり内容が適正なのか判断ができません。
また、予算の範囲内で抑えようと思うと、オペレーターの質が下がり、費用対効果が見合わないという失敗につながる恐れがあるので注意が必要です。
自社の業界の導入実績があるかで選ぶ
「EC通販の導入実績が多い」「コスメ通販の離脱防止・アップセルの誘導成功実績多数」など、導入実績を見ると代行会社の強みがわかります。
代行会社が得意な業界や実績の多い業務内容を委託すると、蓄積された知識と経験で運用できるため、初期費用が安くなるケースが多いです。
自社の業界や委託したい業務範囲にマッチした代行会社を選ぶことで、経費削減にも期待できるでしょう。
コールセンター業務を外部に委託する際の注意点
コールセンター業務を外部委託する際は、以下の2つのポイントに注意しましょう。
- 費用は委託する業務内容の範囲と難易度で決まる
- コールオーバー料金が発生する可能性もある
それぞれ詳しく解説します。
費用は委託する業務内容の範囲と難易度で決まる
実際の費用は業務内容や難易度によって大きく変動します。
簡単な受電業務だけであれば大きく変わりませんが、「アウトバウンドも委託したい」「テクニカルサポートを任せたい」「商品やサービスの内容が複雑」など、オペレーターに求める難易度が高くなるほど料金も高くなると理解しておきましょう。
なお、代行会社に相談すると、基本の料金プランと追加オプションから自社に合った最適なプランを提案してくれます。
同じ業務内容でも代行会社によって費用は異なるため、複数の企業に見積もりを出してもらい、比較検討しながら決めていきましょう。
コールオーバー料金が発生する可能性もある
月額固定型を選んだ場合、契約したコール数を超えるとコールオーバー料金(超過料金)が発生します。
コールオーバー料金とは、決まったコール数を超えてしまった分に加算される料金の仕組みのことです。
月額固定型は従量課金型より1コール当たりの単価が安いというメリットがありますが、コールオーバー料金がかかる可能性もあると考慮しておきましょう。
とはいえ、ある程度まとまったコール数が毎月ある場合、月額固定型を選ぶのが鉄板です。
オーバーする部分は自社で対応したり、料金プランを見直したりすると、外注費用の削減につながるでしょう。
まとめ:コールセンターの費用相場は業務内容の範囲と難易度で決まる
自社運用が50万〜300万円程度の費用相場に対し、外部委託すると1万〜5万円程度で済みます。
また、すでに自社でコールセンター業務を運用している企業も、「機会損失を減らして売上向上を目指せる」「対応品質の向上によるプラスの作用」など、外部委託のメリットは大きいです。
外部委託を検討する際は、コールセンター運用代行に長けている代行会社を選びましょう。