アニメーション動画は高い訴求力を持つため、企業のマーケティングやイメージ戦略に広く活用されています。また、実写に比べて制作費が安く制作期間も短いことから、人気を博しています。
しかし、アニメーションにはさまざまな種類があるため、制作の相場がわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では、アニメーションの種類別の費用相場や、制作費を抑えるコツなどを解説していきます。発注時の注意点もまとめているため、アニメーション動画の制作を検討している方はぜひ参考にしてください。
アニメーション動画を制作会社に依頼したときの費用相場
アニメーション動画の制作費用は、種類によって変わります。アニメーションの種類ごとの費用相場を表にまとめました。
アニメーションの種類 | 費用相場 |
スライドショー | 100,000円〜250,000円 |
モーショングラフィックス | 300,000円〜200万円 |
ホワイトボードアニメーション | 500,000円〜100万円 |
会話劇 | 50,000円〜800,000円 |
フレームバイフレーム | 300万円以上 |
パラパラ漫画 | 800,000円〜150万円 |
タイポグラフィアニメーション | 300,000円〜400,000円 |
3Dアニメーション | 200万円〜500万円 |
モンタージュアニメーション | 800,000円〜900,000円 |
アイソメトリックアニメーション | 100万円~200万円 |
フルアニメーション | 300万円以上 |
キャラクターアニメーション | 500,000円〜150万円 |
ストップモーションアニメーション | 200,000円〜500,000円 |
ループアニメーション | 300,000円〜800,000円 |
良質な動画を制作するためには、自社が作りたいアニメーションの種類を明確にし、適切な予算を用意することが大切です。それぞれ詳しく解説していきます。
スライドショー
費用相場 | 100,000円〜250,000円 |
スライドショーは、連続したカットのイラストをスライドさせて作る、シンプルな構成のアニメーションです。編集作業が容易で、納期も1〜2週間と短いため、制作費用も比較的安めです。
広告SNS用のPR動画など、短尺での利用に適しており、低コストでアニメーションを施策したい場合に向いています。
モーショングラフィックス
費用相場 | 300,000円〜200万円 |
モーショングラフィックスは、静止画に動きを加えた動画のことです。ロゴや文字、イラストなどを動かすことで、企業やサービスをわかりやすく周知できます。
制作費用は動きの滑らかさや素材の数、表現の種類によって変化しますが、安価な制作でも十分にプロモーションに活用できる動画です。
ホワイトボードアニメーション
費用相場 | 500,000円〜100万円 |
ホワイトボードアニメーションは、イラストやテキストを描く様子で表現するアニメーションです。手書きの制作風景をアニメにすることで温かみが生まれ、視聴者の興味も惹きやすいです。
そのため、企業やサービスの紹介をしたい場合に向いています。編集ソフトを使って自作もできますが、チープな動画になりやすいので、制作会社に依頼するのがおすすめです。
会話劇
費用相場 | 50,000円〜800,000円 |
会話劇は、キャラクター同士が対話する形式でストーリーが進んでいくアニメーションです。会話型で展開されるため、視聴者が内容を理解しやすく、印象にも残りやすいです。
そのためブランディングやマーケティングにおける、さまざまな戦略で活用できます。会話劇は、演技力やキャラクターが視聴者に与える印象を左右します。したがって、クオリティを考慮しながら適切な予算で制作することが大切です。
フレームバイフレーム
費用相場 | 300万円以上 |
フレームバイフレームは、複数のイラストを連続して映し出し、滑らかな映像を作るアニメーションです。いわゆる「アニメ」のことで、深夜アニメやアニメ映画などはフレームバイフレームで作られています。
ストーリー性が高く、視聴者を惹きつけやすいため、ビジネスにおいてもテレビCMやブランディングに利用されます。制作費は安くとも300万円、有名なイラストレーターや監督に依頼すれば、ゆうに1000万円は超えるなど、制作費用は青天井です。
パラパラ漫画
費用相場 | 800,000円〜150万円 |
パラパラ漫画は、内容が少しずつ違う大量のイラストを、連続で切り替えることで動きを出すアニメーションです。手作り感を演出でき、良い意味でチープな印象を与えられるため、親しみやすい映像が作れます。
ナレーションなどは基本的に入らず、音声はBGMや効果音のみです。そのため、商品やサービスのプロモーションにはあまり使われず、ブランディングに活用する企業が多いです。必要なイラストの枚数が多いため、比較的費用は高くなる傾向にあります。
タイポグラフィアニメーション
費用相場 | 300,000円〜400,000円 |
タイポグラフィアニメーションとは、文字に動きをつけて映像を作る手法のことです。ロゴやキャッチコピーなどを使ってアニメーションを作ることで、視聴者に企業の印象が残りやすくなります。
メッセージやスケジュールを端的に伝えられるため、イベントの告知やサービスの訴求などによく利用されます。複雑なイラストを必要とせず、比較的安価に制作できることから、広告クリエイティブとして活用するのがおすすめです。
3Dアニメーション
費用相場 | 200万円〜500万円 |
3DアニメーションはCG技術を用いて、3次元空間にモデリングしたキャラクターに動きを加える手法です。他のアニメーションに比べて複雑な動きを加えたり、立体感を出したりしやすいため、リアリティのある映像の制作に向いています。
しかし独自のモデル作成と高度な技術が必要なことから、費用相場も高めです。他の表現方法でも同様の効果が得られることはあるため、制作コストと費用対効果を照らし合わせながら、慎重に検討することが大切です。
モンタージュアニメーション
費用相場 | 800,000円〜900,000円 |
モンタージュアニメーションは、イラストや画像などを切り抜いて映像を作る手法です。場面やアングルが異なる静止画をつなげるものの、ストーリー性が視聴者に伝わるように作るのが特徴です。
さまざまなシチュエーションの静止画をつなげることで、幅広い視聴者層から共感を得やすくなります。そのため、商品やサービスのプロモーションによく利用されます。制作の相場は少し高めですが、素材を自社で用意すれば安く抑えることも可能です。
アイソメトリックアニメーション
費用相場 | 100万円~200万円 |
アイソメトリックアニメーションは、2Dの映像に3Dのような立体感を持たせる手法です。「2.5D」とも呼ばれ、斜め上から俯瞰的な視点でイラストを描きます。
イラストの親しみやすさを残しながら、リアリティを追求できるため、視聴者に世界観を伝えやすいです。そのため、有形商材のイメージ戦略の1つとしてよく利用されます。3Dアニメーションより安価に制作できることから、費用を抑えつつもリアリティを追求したい場合に向いています。
フルアニメーション
費用相場 | 300万円以上 |
フルアニメーションは、背景やキャラクターなど、映像全体が自然に動くアニメーションのことです。映像の美しさを重視した表現方法で、商業クオリティのアニメ映画などに使われます。
視聴者を強く惹きつける効果があり、ストーリー性も出しやすいです。そのため、ブランディングや商品のプロモーションにも使われます。また、アニメーションそのものが話題になる、競合との差別化が図りやすいなど、多くのメリットが得られます。
ただし、制作には高度なスキルを持ったアニメーターや編集者が必要で、制作費の相場は高めです。有名なアニメ監督やイラストレーターに依頼した場合、1000万円を超えることも珍しくありません。
キャラクターアニメーション
費用相場 | 500,000円〜150万円 |
キャラクターアニメーションは、動物や人などのキャラクターに、セリフや動きをつけて作る映像のことです。視聴者が親しみを覚えやすく、印象にも残りやすいことから、マーケティングに活用する企業も多いです。
人気キャラクターとコラボすれば、認知度を利用できたり、新たなファンを獲得できたりと、多くの相乗効果が得られます。またオリジナルキャラクターを制作すれば、キャラクターそのものが人気になる可能性もあるなど、多くのメリットがあります。
ストップモーションアニメーション
費用相場 | 200,000円〜500,000円 |
ストップモーションアニメーションは、静止している人形やオブジェなどの物体を、少しずつ動かして映像を作り上げる手法です。独特な動きで印象に残りやすいアニメーションが作れます。複雑な編集技法やイラスト制作が必要ないため、制作費の相場は比較的安めです。
子供に刺さるコンテンツが作りやすいため、教育コンテンツなどの子供向け商材のプロモーションや、ブランディングに向いています。しかし、大人に対しても懐かしさを感じさせる映像が作れるため、幅広い年代に向けたマーケティングに利用されています。
ループアニメーション
費用相場 | 300,000円〜800,000円 |
ループアニメーションとは、特定のシーンを繰り返し再生するアニメーションのことです。複数のカットを用いた一連の映像が繰り返されるものもあれば、静止画の一部分だけが変化するだけのものなど、さまざまな種類があります。
ループアニメーションは、動画の始まりと終わりが曖昧なため、繰り返し視聴しても違和感がありません。そのため、長時間再生されることが多く、企業の印象を視聴者に無意識に植え付けられます。したがって、広告クリエイティブやステルスマーケティングによく利用されます。
アニメーション動画制作を安く抑えるポイント
アニメーション動画制作を発注する際、以下4つのポイントを意識すると費用を抑えられます。
- 構成や企画を持ち込む
- 自社で素材を用意する
- 尺を短くする
- 個人の制作者に依頼する
それぞれ詳しく解説していきます。
構成や企画を持ち込む
アニメーションの制作のうち、構成と企画は自社でも作成しやすいです。アイデアは自社で用意し、制作会社にはイラストや音声の制作、編集などの作業だけ依頼すれば、費用を抑えられます。
関連記事:動画制作での企画書の作り方!記入例や無料テンプレートも紹介
自社で素材を用意する
キャラクターや素材の制作をオリジナルで依頼すると、費用が高くなります。そのため、フリー素材を活用したり、既に自社が所有しているキャラクターを使いまわしたりすることで、費用が安くなります。
尺を短くする
長編アニメーションは、イラストの数や作業工数が増えるため、費用が高くなりやすいです。そのため、15〜30秒程度のアニメーションにすることで、低価格で制作できます。
個人の制作者に依頼する
フリーランスのアニメーターや編集者は、制作会社に比べて安価に依頼を受けてくれる可能性が高いです。余分な人件費や中間マージンが不要で、請求項目が純粋な制作費のみとなるからです。ただし、個人の制作者にはさまざまな特徴を持つ人がいるため、吟味したうえで発注先を決めましょう。
アニメーション動画制作を依頼する際の注意点
アニメーション動画制作を外注する際は、下記4つのポイントを意識しましょう。
- 事例を見てから問い合わせる
- 相見積もりを取る
- 料金だけで決めない
- 権利関係を明確にする
それぞれ詳しく解説していきます。
事例を見てから問い合わせる
制作会社ごとに、イラストのテイストや得意な技法は異なります。そのため、問い合わせ前に事例を確認し、自社が作りたいアニメーションの制作実績があるか確認しましょう。経験が豊富な制作会社に依頼することで、イメージどおりの映像を作りやすくなります。
相見積もりを取る
1社だけでは、適正料金や制作会社の良し悪しが判断できないため、契約前に必ず3〜4社から相見積もりを取りましょう。金額や提案内容を見比べ、最も条件に合う制作会社に依頼するのが、良質なアニメーションを制作するポイントです。
料金だけで決めない
価格だけを見て契約すると、低品質なアニメーションが納品される、スケジュールどおりに制作が進まないなどのトラブルにつながります。見積もり時に具体的な制作プランが組まれているか、金額の内訳は詳細まで記載されているかなど、必ず確認しましょう。また気になることがあれば質問し、誠実な対応をしてくれるかどうかも、制作会社を見極める大切なポイントです。
権利関係を明確にする
権利関係を曖昧にしていると、納品後にトラブルが起きやすくなります。そのためアニメーションや、素材の著作権が、制作後に自社に移るか確認してください。とくにオリジナルのキャラクターやイラストを制作した場合、使い回しが効かなくなるおそれがあるため注意しましょう。
まとめ:アニメーション動画制作依頼の費用相場は動画の種類で変わる
アニメーション動画の制作費は、映像の種類によって変わります。それぞれ強みや特徴も異なるため、自社の目的に合わせて予算を用意し、最適なアニメーションを制作することが大切です。
アニメーション制作を外注する際は、構成や企画、素材を自社から持ち込む、動画の尺を短くするなどの工夫で費用を抑えることも可能です。社内のリソースなどを考慮して、最適な費用で制作できるように工夫してみましょう。